要 約



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シンガポールONEは、シンガポールを「インテリジェント・アイランド」にすることをめざした「IT2000計画」の「復権」を賭けて1996年に開始された新しい国家プロジェクトで、背景にはマレーシアのMSC(マルチメディア・スーパー・コリドール)計画への強い対抗意識があると見られる。

シンガポールONEは、ATMベースの高速広帯域通信による基幹回線をインフラとして構築・運用し、その上で新しいアプリケーションとサービスを開発し、研究開発と産業振興を推進し、21世紀の情報社会においても高い国際競争力を維持発展させるという構造のプロジェクトだ。

96年2月から、400世帯が参加し、ADSLとケーブルモデムによるインターネットの高速アクセス実験が開始され、現在は電子商取引(EC)などのアプリケーション開発も進められ、98年始めからは本格的な商用サービスの開始が予定されている。

TAS(電気通信庁)、NCB(国家コンピューター庁)、EDB(経済開発庁)、SBA(放送庁)、NSTB(国家科学技術庁)という5つの政府組織が分担して推進し、基幹ネットの構築・運用はTASおよびシンガポール・テレコム、シンガポール・ケーブルビジョンの国営企業2社が出資して設立された1-Netという民間コンソーシアム会社が担う。研究開発やサービス開発にかかわるプロジェクト参加企業には補助金・税制・通信料金割引の3本立ての支援策が用意され、海外企業の誘致も積極的に行なわれている。

計画当初は一般的なATM広帯域ネットワークという性格が強かったが、96年末までに、政府内部でインターネットをIT2000の重要な構成要素として位置付けるという合意が形成された模様で、その結果、インターネットの相対的な比重が高まり、1-Netには97年5月にインターネット・プロバイダー2社が資本参加した。

しかし、ルーティング方式、アドレス管理など、ネットワークの運用管理体制を中心に、問題点も少なくない。技術面ではATMとの整合性が問題である。また現在の構造では、利用者の急増に対応できないおそれもある。これらは、今後インターネット主体のネットワーク全体が直面する課題とも考えられ、その意味でシンガポールONEは世界に先行して実地で問題点が検証できる重要なプロジェクトとして今後とも注目に値する。


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