[aisg-news 配信ニュース記録] 1998年7月(アジアネットワーク研究所/クアラルンプール)
Date: 07.11 3:33 PM To: aisg-news@anr.org From: Izumi Aizu Subject:[aisg-news 85] ヨーロッパ・コミュニティネット会議の様子 バルセロナで開かれている、ECN (Euoepran Community Network) 98 は、いままでほとんど知らなかった、ヨーロッパでのコミュニティ・ネットワーク の状況が具体的に伝わってきて、とても貴重な勉強をしています。 日本の地域ネットと共通する課題が非常に多いと思います。 昨日 (7/10)のセッションでのメモから、すこし報告します。 セッションテーマ:ディジタルシティのモデルのデザイン まず、フィオレラ・ディ・シンディオさん(大学の先生、女性です)の発表です。 ミラノの地域ネットのかかわっています。 市民とミラノ市との対話を、インターネットのニュースグループで実現してきた。 ミラノ市はまだ自前のホームページをもっていないが、コミュニティネット(RCM)との 協力で、実質は実現してきた。 市民主導型で、市の職員も市民として参加 たとえば、「忘れ物」コーナーがある 。町で傘を忘れても、ここに書けば探せる という仕組だ。こういうコーナーは、役所や企業のトップダウンではないからできた! 市民の発想を活かしたからだ。市民が良いサービスを欲しいと思ったから、素直に できた。 ファランセスク・オサン(バルセロナの市役所の人です) ここも市民参加型のネットです。 ここ数年で、市役所でウェブをつくってきたが、市民に消費者として参加してもらい、 自分たちでウェブの内容をつくることを可能にし、責任ももってもらった。 行政サービスも、ウェブ上で実現している。 建設許可の手続き、様々な文化情報などもすべてウェブにある 課題 役所の発想による情報は あまりスタティックなので、市民にとっては、質問への回答 は得られても、それ以上にはならなかった。そこで、 もっと、市民参加型(スペインで 初めて)にし、インターネット活用することで、もっと全市民が意思決定に参加できるよ うに、対話型にしたかった。 単に、何が起きているかという情報を取り出すだけでなく、自分たちの意見を表現でき るようなものにしたかった。それが市民参加型のネットだ。 これが、この6月1日から、重要な部分として動き始めた。 そこで、市民参加ボランタリーアクション ページを始めた まず、次の2つのトピックを選んだ 1 公共交通機関について 昼間はいいが、夜間は減らす。しかし、夜間の需要もあるはずだ。 市民はどう思うかと投げかけた。 2 市民がいかに参加できるか 討論のサマリーをつくって提供してある 焦点を決め、ホームページでそれに関連する資料、情報も引き出せるようになっている。 図書館、アーカイブも調べられる(ウェブから) 可能な限りの情報を提供しようとしている フォーラム 標準的なウェブ会議室を使っている。 チャットもある モデレートされている 政治家(議員)との対話もできる アンケートを用意し、市民が回答することで、市議会の議員が、市民の意見をすぐに知るこ とができる 新聞などに掲載されている関連テーマについての主な報道記事も取り出せる 討論テーマ、フォーラム、チャットなどがひとつのメニューになっている 市役所側に職員の委員会があり、市民の議論に沿って行動できるようにしてある。 バルセロナには、独自のコミュニティネットワークがいくつかある たとえばモンジュイック(オリンピックのメインスタジアムのある丘の地区。 マラソンで有名になったところ。 その他の地区コミュニティ単位で、ボトムアップ型につくれるようコーディネートしてきた。 いまは5つのコミュニティネットがあり、それらをつなぐ、ネットワークのネットワークが バルセロナネット。つまり、住民が住む地区単位でまずコミュニティネットがあり、それを つなぐことで、市全体のネットを広げようとしている。ボトムアップなのだ。 このウェブサイトは、実験段階だが、この経験をシェアすることで、様々な組織が協力し、 市民と市とが共同管理(コ・マネジメント)、この組織が運用し、われわれは市民、各種団体、 市、企業と、すべての社会組織によって経験を共有したい と考えている 市のコミュニティネットは、小さなネットの集合体と考える 自分たちのサービスを一方的に提供するだけでなく、市民自身が参加してつくり あげるための土台を提供しようとしている 市議会の全体会議も、情報として提供している そこに市民が意見を寄せ、議論でき、アイディアを出せ、市議会の議員、各政党が 参考にすることで、決定に活かせるようになる 書、情報を市民に提供することで、何が起きているかを市民がわかるようにする 質問、議論を積極的に受け入れる 夜、バルセロナのコミュニティネットの一つ、ラバルネットというところを訪問しました。 市の中心部、かなり貧しい住民が多いところです。そこの薄暗い狭い通りの路地の 奥に、青少年のためのすごく小さな集会所みたいなところがあります。たぶん非行 防止とか、そういう目的なのでしょう。そこにパソコンが数台あり、若者が自分たち でホームページをつくり、クラブを動かしているのです。昨日も、高校生くらいの若者 が数人きてくれて、説明してくれました。 バルセロナになぜこうした動きが起きたのかを、今回の会議の主催者である カタロニア工科大学の先生に聞いたところ、アナーキストの社会運動として、 コミュニティ活動の伝統があり、それに大学のCSCW(コンピューター支援協調 作業という、グループウェアなどを研究開発するコンピューター科学の一分野) の研究者の活動が結びついたから、という説明でした。まさか、ここでアナーキスト の話を聞くとは思いませんでしたが、たしかに、ラバルネットなどにはその香りが しました。 市を全体でひとつのネットでカバーするのではなく、日常生活の単位である 地区毎に小さなコミュニティネットを立ち上げ、それを横につないでいくという 発想は、コロンブスの卵のようなものですが(バルセロナといえば、コロンブス がアメリカ大陸発見の航海に出かけた港で、大きな銅像が建っています、関係 ないですが)。 この会議には、オランダ、イギリス、フランス、フィンランド、イタリア、地元スペイン そして、カナダ、オーストラリア、アメリカ、アルゼンチンなどから参加があります。 日本&アジアからは、私だけですが。それだけに、日本の地域ネットについては、 いろいろ質問されたりします。 参加者は100名にも満たない会議ですが、非常に活発で、ハイパー研での ワークショップとよく似た雰囲気です。 電話会社の人がほとんどいないのも、ちょっと印象的でした。 コミュニティネットの基本として、市民自身のコミュニケーション、対話を重視する というのが、共通理解のようで、国や市などの政府による「上から」のアプローチ ではだめだ、という意見がここでは大勢のようです。 取り急ぎの報告です。今夜もうKLに帰ります。 さすがラテンの国だけあって、会議が終わるのが8時頃、食事は10時頃から 始まって12時頃までかかります。体力がいりますね。 会津 泉 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * Date: 07.14 10:27 AM To: aisg-news@anr.org From: Izumi Aizu Subject:[aisg-news 86] マレーシア政府、MSC開発に積極関与に方針転換 マレーシア政府、MSCのインフラ開発に積極関与に方針転換 経済危機が深刻化するなか、インフラ構築も原則として「民活」で推進することが前提 だったMSC開発について、政府が方針を変更し、政府資金を投入して事業を保証する 方向になった。 この背景には、マハティール首相がUMNO党大会を乗り切り、経済政策を、これまで のアンワール蔵相による緊縮路線から緩和・刺激路線へと転換する一連の動きがある。 ただし、政府保証の財源については充分確保できていないという見方も強く、また、 MSC関連への投資については、経済全体への普及効果の点から疑問だとのアナリスト の声も出ている。 MDC、サイバービュー社の株の過半数を取得、 マハティール首相、RM6億ドルの追加 投資を発表 MSCの運営母体であるマルチメディア開発公社(MDC)がサイバージャヤでのフラッグ シップアプリケーションゾーン2,800へクタールを運営している開発企業、サイバービュー 社に増資し、資本の過半数、51%を取得すると発表した。取得金額については、金融機 関の再審査後にあらためて発表されることになっている。 現在、サイバービューの株主は、MDC10%、NTT15%、セティアバルマン55%、ゴールデ ンホープ・プランテーション10%、ペルモダランナショナル(PNB)5%、セランゴール州政府5%、 である。当然だが、この増資については事前に株主の了解を得て発表されたものだが、 かなり急な決定だったようだ。株主側は、政府が積極的に関与することは基本的に歓迎 している。 MDCの夕ンスリ・オスマン会長は、「政府による株の過半数の取得は、MSC開発事業 を政府が責任をもってコミットすることの証になる。経済危機の影響による遅延について 懸念されているが、できるだけ最小限にとどめ、計画通りに進めていきたい。現時点では、 プロジェクトに関与している企業の解約はない。」と語っている。 実際のMSC開発計画そのものについても、従来の強気一点張りから、優先順位を現実 的に確認する方向での具体的な見直しが始まっている。 また、7月8月、マハティール首相はサイバージャヤのインフラ整備などにRM6億ドル(約 210億円)の追加資金を投入することを明らかにした。同資金は、先日アンワール副首相 兼蔵相の発表したインフラ事業救済基金から支出されると見られている。このインフラ救 済資金の対象については、当初はMSC関連は含まれていなかったのが、マハティール 首相の意向により急遽追加されたようだ。 すでに、6月16日、サイバービュー社とテレコムは、MSC地区のインフラ整備及び土地の 売買についての契約に調印しており、テレコムはサイバージャヤの事業区域で独占的に 通信インフラ整備と運営を手掛けることになっている。開発期間は5年で、投資総額は約 RM10億ドル(約350億円)とされる。また別件では、サイバービュー社とPNBプロパティマネ ージメントは21へクタールの敷地の売買契約をRM3,400万ドル(約11億9千万円)で調印し ている。 MSCステータス14社が、すでにサイバージャヤへ移転しており、42社は事業区域予約 済みである。30社(マレーシア企業22社・国内外ベンチャー企業4社、外国企業4社)はす でに保証敷金を支払い済みであり、今年未までには50社がサイバージャヤへ移転する と見通している。 一方、今年第1四半期のマレーシア国内総産(GDP)は、マイナス1.8と13年ぶりのマイナ ス成を記録した。 そして、特に民間部門の経済成長率は大幅な減速が避けられず、7月9日、マハティー ル首相は企業救済に向けた法律改正を行うと提案した。 さらに13日にはアンワール蔵相兼副首相が、今年度の経済見通しを従来のプラス2〜3 %から、マイナス1〜2%へと下方修正し、政府による財政刺激措置をとることを公表した。 リンギット下落によるインフレは、7〜8%に達するとの予測も発表した。 こうした状況の中、情報技術分野の政策優先度は、今まで通り保持する方針だが、今 後の経済状況次第では、さらに大幅な予定変更ということも充分考えられる。経済全般 の見通しについても、金融システムを中心に、厳しい状況が続いており、今後さらに悪化 するとの見通しは高い。 (出典:「スター」、「ニューストレイツタイムズ」他) by 田中葉子 & 会津 泉 aisg-newsメニューへもどる
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