【参考資料】MSCについてのアンケート集計結果
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以下は、5月初旬にクアラルンプールで開催された、MDC主催の「日系企業との対話集会」の準備として行なわれたMSCについてのアンケートに対する、現地日系企業から回答の概要である。日本企業が実際にどのような関心と不安・不満を抱いているか、その一端がわかる材料といえる。
1.MSCプロジェクト全体の意義について
■狙いについては大いに賛同したいところ。又、ASEANの中でのリーダーシップを取るという意欲も理解できるので多いに推進して欲しい。
■マルチメディア技術の実用化に向けた大実験場を用意した意義は大きい。
■この様な規模で未知分野に取り組むということは、こういった政治体制の国で始めて可能になると思う。その意味で大きな意義があると思うが反面、国内諸制度、諸規制を温存させ、ここだけをFree Zone化し、又それをメリットとして強調するというスタンスには賛成しかねる(一国二制度の推進)。
■Vision先行型の政策をとらざるをえないマレーシアとしては、MSCというカテゴリー(ないしは呼び名)で、このプロジェクトを推進しようとしている点では国策的に意義あり。しかし、実態面でどこに企業としてのメリットがあるのか、単に「法人税10年間免税」とか「労働ビザ青天井」といった特典だけでは、何故に「MSC」でなければいけないのかという日本本社の質問に答えられない。
■申し分なし:コンセプトの半分でも実現できれば成功と言えるのでは。とにかくMSC取得企業、これから取得する企業がマレーシア政府の公約通りの活動ができるようインフラ整備し、経済的メリットを含めて魅力ある場をいつ実際に提供できるかが鍵だと思う。
■EU、北米三国、中南米連合と多くの国々が国境を越えて通貨、通信、その他を共用しようとしている時、アジアの中心として拡くMSCに期待します。
■プロジェクトが余りに広大であり、特に新都市契約という色合いが非常につい良い。この都市計画への参加(サイバージャヤへの移転)を前提としている点で、参加企業へのメリットが半減しているようにも思われる。
■21世紀に向けて飛躍するのに情報技術開発・同関連産業の発展が不可欠であるとの認識・発想は正しい。しかし、その前に政府として取り組むことがマレーシアには山ほどある。この国が進めるMSCは時期尚早である。情報産業の発展するための産業基盤があまりに脆弱である。なぜ政府はもっと足元をみて基礎体力をつけようとしないのか。産業連関の分析が甘い。情報産業だけが一人歩きするわけではない。製造業、サービス業などの本当に他国の技術や人に依存しない産業発展がない限り、IT産業だけ発展することはまず絶対ありえない。仮に情報産業の革新的な技術開発がなされたとしても、それを使いこなせる産業がなければ国としての全体的な産業発展はありえない。
人材を海外にすべて依存するような考えは生ぬるい。自国の人材育成のプログラムが貧困でMSC企業の教育に依存するのは発想自体が極めて甘い。大規模で近代的な教育プログラムが実行されない限りMSCの発展はありえない。自国の教育制度を充実させることがまず先決である。
海外からの技術移転に依存した産業は表面的に発展してもその基盤が脆弱でもろい。いまの自動車産業を見れば明白である。
MSCの理想と現実がうまくかみあっていない。MDCの職員がMSCプロジェクトの高尚な理想と意義に対応する現実の進め方を理解していない。理想倒れになる。現実への適応、応用への努力が足りない。柔軟な対応、運用に欠ける。MDCの職員自体の質的レベルアップを早急にはかるべき。
■日本側から見ると日本以外の国の技術者を一カ所に集めることによって色々な研究・開発の場が与えられるということは大変大きな意見があると思われます。ただ現実問題としてマレーシア国内の技術者レベルが日本側の期待するレベルに達するにはまだまだ時間がかかると思います。
■目論見としては大いに意義がある。但し、人間環境(人材)インフラ形成についての配慮が物理的インフラと並んで語られるべきである。
2.インフラストラクチャー(用地整備、道路、通信、電力、生活環境など)について
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■具体的に不明。
■全体が遅れている。無理なスケジュールは公表すべきでない。
■用地整備については全く進行情況が見えない。又MSC取得済み後はサイバージャヤに移るようになっているが、実際にテナントビル等の賃貸オフィスの話が全くない。道路についても今現在どこまで進んでいてどのような予定で進められるか全く資料も説明もない。通信、電力に関しては首相が提案されていた世界で最高水準のものを安価でとの話はあったが、その後具体的な数字が全く出されていない。
■通信インフラ、産業インフラなどは計画どおり間違いなく実行してほしい。スケジュールや仕様の変更があれば前広に公表してほしい。情報公開の透明性が不可欠。生活環境の充実病院、学校、スーパー、レストラン、銀行、娯楽施設など生活基盤の充実をはかることが不可欠。治安を維持することも肝要。インフラの割には、近辺の工業団地の2から3倍の土地価格である。不動産開発でもうけるつもりなのか。
■新都市開発に膨大な時間、費用がかかる分、参加企業に早期進出を促すインセンチブが働かない。サイバージャヤに限らず、少なくともKL地区には最新の通信インフラとそれを享受できる通信サービス、及び料金などの導入を先行させることが必要と思われる。
■当初、最先端の技術を用い、最高質のインフラを期待したが、残念ながら従来のTMB、TNBの工法が優先され、MSCの基本から大きくかけ離れた都市になるのではないかと心配。
■今の現況は移転すれば極めて不利な環境におかれる。得に道路、公共交通機関、必要最低限の生活必要施設(レストラン等の商業施設)は移転前に整備されていることが必須。通信料金についてはMSC域内は思い切った低額料金を設定できることが肝要。その他サイバージャヤでどういうメリットが享受できるのか、そういうインフラを提供すべき。(MSCステータス所得企業はサイバージャヤに移転することが資格維持の前提条件になっているが、強制的に移転させるのではなく、高い移転コストを負担しても移転したことによって享受できるメリットがあれば自発的に移転すると思う。
■MSCの魅力を感じる多くの企業はインフラ整備に参加したいが故であるものが多いはず。ところが、この部分は不透明かつ既に利権でガチガチに固められているがため、興味半減状態。スマートパートナーシップとは「Give & Take」であるべきはず。インフラ整備でももっとMSC資格をとった会社に優先適に仕事をまわし、その条件として将来のMSCへの投資を約束させるなどの現実的アプローチをすべき。ガイドラインではそう唱ってはいるが、現実は全くそうなっていない。
■進捗状況等、公開すべき。用地の用途制限がなくて良いのか?
■大いに心配である。陸の孤島となる恐れ(当分の間)があり、従業員の通勤先変更に支障があると思われる。
3.プロジェクトの進め方について
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■中小企業は資金も人材も大手とは違い、充分とはいえない。従ってコンサルタントの援助を受けながら進めるしかないと考えている。
■イメージ先行の感がある。150社認可されたというが、そのうち何社が実行するのか。
■各産業とITの結びつきを念頭においたバランスのとれたPlanningと、国の諸制度、規制との調整を同時進行させていく機関が必要と思う。
■特にFlagship Applicationの決め方(まだ決まっていないものもあるが)が不透明すぎる。
■どこがリーダーなのか、基本は将来の都市づくりなのか、単なる利権のとりあいで金儲けなのか、今はさっぱり解らない。MSCの将来構想に最初から見ているものとっては夢があったプロジェクトだけに残念。
■MSCという名をつけている以上、現実的に考えて当面限られた地域(KL)において最新の通信インフラを構築し、実験レベル。実用レベルのサービスを開始すべきと思われる。
■経済情況に合わせて、当初目論見を大幅修正すべきである。より強力な優遇策が必要と考える。
4.MSCステータス(申請手続、審査基準、メリットその他)について
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■メリットはあると思うが、はっきりしない。
■問題ない
■1) 申請手続きが思った以上に煩雑
2) 申請後15日以内に不備の有無チェック。受理後30日以内に結論を出すという
公約が守られているのだろうか。
3) 日本企業担当者、できれば日本人をおくべき。MIDAの場合、1987年〜91年、
JICA専門家を置き、日本企業の誘致に成功。
■MSCステータスをもつ会社にインフラ整備プロジェクトの参画の優先権を与える旨がガイドラインに唱われているが、実際にはそれがどのように実行されるのか全く不透明である。
■1) フローチャートのようなものがあるとわかり易い。
2) 審査基準はオープンにすべき。
3) 無制限外国人枠で「メリット」のひとつとしているところに、この国の本質的問題があるように思われる。
■既にマレーシアに進出し、事業を行っている日経の製造業にとってほとんどメリットが見込めないのは問題。マレーシアの産業を支えている製造業をもっと厚遇する方策を取り入れる必要があると思われる。
■1) 申請手続き・審査
・査担当者の力量不足あまり専門的知識を持たない人が審査
・要領を得ない次から次へと資料やデータの提供を求めてくる。
・スケジュールを守らない、スケジュールを過ぎても資料を要求してくる。
(期限内にファックスで送ったなどと平気でうそをつく)
・MIDAのようなKnow Howの蓄積がない。
・アポが取れない、電話にでない、CallBackがない、E-Mailに返事がこない。
横柄な口をきく。
・教科書通りの答えしか言わず、申請書の書き方に具体的な説明がない。
2) MSCのメリット
・MDCが考えているほどMSCステータスがそんな魅力あるものではない。
外資100%、外国人就労枠自由、為替自由などは、マレーシア特有の規制撤廃であり、外国企業にそんな大きな魅力とは言えない。シンガポールでは以前からそのような規制はない。5年間免税だとしても日本に配当すれば日本で課税されるわけで最終的に意味をなさない。日本でのみなし間接外国税額控除制度を製造業同様にMSCステータス企業にも適用させるべき。ただもともとR&D自体が直接利益を上げるようなものではないが。個人所得税のメリットが何もない。何らかの免税措置を考える必要あり。MSCの中心CyberJayaはKL都心から離れていて不便である。
■既にMSCステータスは取得したが、就業ビザの発行がスムーズになった以外、それほどメリットが感じられない。特に現地に進出されている製造業の会社(ステータスを取得していない会社)との差が全く感じられない。又、今後ステータスを意味のあるものにするためにR&Dセンターの推進を行っていきたいが、現状は日本からの応援(出向者、出張者)が必要と思われるが、それに対してのコスト面でのメリットがないと思う。会社自身は税金面で優遇されているが、駐在員の数が増えれば個人の税金の負担が会社のコストを圧迫することも考えられる。又、MSCのステータス自身当初の説明(海外企業40社、現地企業50社)を大きく上回っているのに対し、今後の予定などがはっきりされていない。又、税金の面についてもまだMSCの場所に移って業務を行っていないのに、パイオニアステータスかインベストメントTAXのどちらか選択しないといけないのはおかしいし、はっきり言って決められない。
5.その他、MDCへのご要望、質問、意見など。
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■審査基準の緩和はないのか?
■MSCそのものがSingapore ONEと比較されることが多く、日本からもよく質問を受けるが実際現地にいても違いがはっきりしない。又、現状でいけばSingaporeのほうが先行しているように思われ、今のままでの進め方(スピード)では日本側から見ればやはりSingaporeのほうが・・ということになりかねないと思う。現実、マレーシアの技術者が多くSingaporeに移っており、MSC内で大学を作っても、実際マレーシア国内にとどまる技術者は少ないのではないかと思う。
■1) 日本企業が進出してこない理由
日本側の事情
日本企業自身も今資金的にも、人材的にも余裕がない。
日本企業の物作り(製造)の海外移転は進んでいるが、R&D研究開発などソフト部門の海外へのシフトはもともと遅れている。
言葉の障壁がある。わざわざ外国語をかます必要がない。それだけ時間とコストがかかることになる
・ソフトウエア産業自体が日本市場向け仕様というローカル性が高いもの。
マレーシア側の事情
日本は関心が低く消極的な姿勢」というよりも、関心は高いがマレーシアに進出するほどMSCに魅力がまだ感じられないと言うのが実感。
今水不足、ヘイズ、不況で悩んでいるマレーシアに日本から投資する気になれない。
(TIMINGが悪すぎる)コスト削減に必ずしも結びつかない。高い個人所得税の会社負担を軽減する為にも、免税などを考えたほうがいい。
CyberJayaが魅力有る投資環境、住環境となるのはまだまだ先の話。
先行企業のお手並み拝見して、インフラが整備されてから進出を考える。
先行して進出するメリットが見出せない。
人材不足(マルチメデイア大学、テレコム大学の効果はまだまだ先の話)
2) MDCへの要望
・以前から何度も提案しているようにわかりやすい日本語の解説書を作ったらいい。
製造業向けにはMIDAが解説書を数か国語で出している。
・KLに相談窓口や申請受け入れの事務所を開設して欲しい。
3) MSCをやる前に取り組むべき課題
MSCを始まる前に政府や民間企業、そして国民が取り組むべき課題が山積みである。
この国が抱えている問題点の一例を参考までにあげる。
まず背伸びしないで、今こそマレーシアは基本に立ち返るべき。そうしないと日系企業の進出を期待できない。
・マレーシアの製造業の実態
製造業は表向き発展成長しているように定量的には見えるが、定性面ではいまだ発展途上国の域を脱していない。
技術力いまだ技術を他国に大きく依存している。独自の技術を持たない。
技術者不足いまだ人材育成がなされていない。
下請金型設計・製作・修理、射出成形など根本の下請産業が育っていない。
自動車などのピラミッドの系列が出来上がっておらず自動車産業が確立しているとは言えない。
インフラ未整備 安定した電力(停電)、水(水不足)、都市ガス、鉄道網など良質の工業団地不足
整備されたハイテク向け工業団地は少ない。
未熟な素材産業 鉄、化学品原料などの産業の基礎的な素材品のほとんど輸入。
非製造業も、例えば金融関係業界を見れば、金融システムは非近代的、政府の保護の中に有り、銀行間の自由競争が働いていないなど、製造業より更に遅れている。
この様に産業の基盤が欠如していたり人材がいないマレーシアの国が世界に向け高度情報産業基盤の場所を提供すると宣伝しても、投資家として不安を覚える。情報産業を育成するには、まず産業基盤の整備が第一である。それは各産業すべて密接に連関しているからである。背伸びし過ぎで本来やるべきことがあやふやになり、おそらく中途半端に終わり成長を妨げることになりうる。
4) MSCが相対的に魅力があるかどうか、MDCは自問自答すべきではないか。
マレーシアの製造業のレベルはおそらく中学生程度であろう。このくらいのレベルの国(マレーシア)が外国の情報通信専門家の先生方からの指導を受け、高度な情報産業基盤MSCという理想郷を提供すると言っても、高度な技術や知識のない国(マレーシア)が上面だけで作り上げたMSCに本気で世界から情報関連企業)が集まってくるだろうか。実態を知っている日本は其の対応も慎重にならざるを得ない。いまなぜマレーシアか今一つ説得力ある説明がない。
外資規制、為替規制がないこと、自由に雇用査証がとれることは隣国でも同じ。
技術力不足、人材不足、インフラ未整備、MDCの対応の悪さなど不安材料だけである。
■フラッグシップ・アプリケーションの入札、決定が不透明であり、ローカル企業を優先しているような点が多々見受けられる。
■いろいろなプロジェクトが各社(例としてTMB、TNB)から出されインフラひとつとってもその関連さが不明。今世紀を21世紀を代表する夢にあふれたプロジェクト。なんとか素晴らしい都市を未来のために作り上げてもらいたい。主題は自然と共存する都市。私たちがかけがえのない地球を永遠に保ち続けるプロジェクトであってほしい。
■1) MSCステータスの特典が種にあるが、法律上のオーソライズがまだされてなく、運用上まだ円滑にいっていないように思う。
例:銀行借り入れ枠の設定のとき、外資企業に対する規制問題でMSCステータスのサティフィケートを要求されたが、まだ大蔵大臣のサインがされてなく、中央銀行にレター申請し、やっとある一部の規制免除の許可を得た。(このように、煩雑な手続きを強いられる)
2) MDCの存在は非常に貴重でメリットを感じている。最大のメリットはワークビザの申請がMDCで代行してくれ、手続きの煩雑さから解放されると同時に非常に早くワークビザが取得できる。但し、他の件を含め、少人数でやられているため、なかなか担当の方にアクセスできないのが悩み。
3) サイバージャヤに移転する場合、小規模の会社は貸しオフィスを希望するはず、こういうインフラも早く整備する必要があるのではないか。
■1) 担当者に電話をかけるのが困難。つながらない。誰もとらない。
2) 担当者が休んでも誰かが代行し、業務が滞ることのないように。特に日本企業はこの点で失望。
3) 担当者の知識不足(申請手続、マルチメディア技術)が見受けられる。
4) MIDAに比べるとMDCは官僚的。
5) MDCがコンサルを経由せず、クライアント(申請者)に直接連絡することがあり、混乱を生じさせる。