第2章 総合討論 「ユーザーの要請:課題と問題点」
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続いて、基調提案で出された問題点およびIFWPの事例研究をめぐって議論された点を中心に、「ユーザーの要請:課題と問題点」を巡って総合討論が行われた。
ここではインターネットの現状、とくに国際調整活動を必要としている分野、問題点、解決方法などについて、幅の広い検討が行われた。
以下に主な意見、論点をテーマ別に分けて紹介する。
1 インターネットに関する新しい国際組織の必要性とあり方 ITUとの関連など
・ 新しいインターネットのポリシーについての議論をするための国際的なフォーラムが必要だ
・ インターネットのダイナミクスを考えると、現在のITUでは遅過ぎる。
・ ドメインネーム、IPプロトコルについて作られる新組織を、外側からモニターする必要がある。。ウォッチドッグ(番犬)役として。そのための資金、組織をどうするかが問題だ。
・ IFWPの新バージョンが生まれる可能性はある。ただし、それには、相応の投資(資金と時間)をすることが必要だ。問題はだれもリーダーシップをとろうとしないところにある。
・ ITUも必ずしも機能しないとは思わない。モバイルなどのように、新しい技術・サービス標準化について果たしてきた役割はある。いまのITUは二重構造の組織で、政府と民間企業の両方がメンバーだ。したがって、まったく新しいフォーラムをつくるよりITUを生かすほうが容易ではないだろうか。
・ ITUをまったくバイパスすることはできない。問題によって組織のあり方は具体的に特定すべきだろう。すべてをグローバルなアプローチで決めるのは疑問だ。ものによってはリージョナルなアプローチの方が、よりフィージブルなものもあるだろう。
・ ITUは従来のシステムの方法で汚染されているから、インターネットのような新しいものには、政府が発議し、民間が運用する新しい組織が必要だろう。
・ 「スコアカード」という考え方は面白い。ITUについても採点し、その結果を公表することが考えられる。
・ ITUも、すでにインターネット関連の活動をし始めている。電話会社も動き始めている。インターネット電話、ビデオなどでは、インターネットコミュニティとそう変わらない構造をしている。ITUは広範な利害を代表しているが、コンセンサスに基づこうとしているから、決定はたしかに遅い。
・ 民間フォーラムの必要性は認めるが、国際的な合意にはITUのようなインターガバメンタルな組織がやはり必要だ。ITUを改革するのも一案ではないか。
・ ITUを排除はできない、が、ITUがドミネートすることも不可能だ。組織改革は、目に見える形で行うことが必要。IETFも参考にして、新しい原理と組織がどうしても必要だと思う。
・ インターネットにおけるデファクトスタンダードを確立する上では、IETF(Internet Engineering Task Force)のモデルが適切ではないか。
・ IETFモデルは、もっとシリアスに受け止められる必要がある。IETFは、ITUのプロセスやGIICなどとは、まったく違うものだ。IETFは目的を限定し、フォーマルな投票はしない。
・ アジア太平洋など、地域的な意向をグローバルなプロセスにどう生かせるかが問題だ。技術問題には向いているIETFも、そうしたポリシーが絡むドメインネーム問題にはあまり機能しなかった。
・ インターネットについての技術問題などについては、ディスカッションするためのフォーラムと、ディシジョンおよびその運用をする組織とは別にする方が有効と考えられる。
・ 限定した目的での、何らかの形の国際フォーラムが新しく必要になると思う。目的がない国際ボディはすぐ行き詰まるだろう。だれもがインターネットには利害関心をもっているから。たとえば「品質保証(QoS)」といっても、インターネットのそれは従来の電話における交換機同士の保証の問題ではない。「ウォッチドッグ〈番犬〉」というより、「スコアカード」、つまり対象となる組織に対して、第三者の視点から評価採点を下してそれを公表し、それによって他の組織を動かすといった機能をもつことが望ましい。
2 インターネットの新しい普及促進の方法は
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・ 技術標準化の促進にはスーパーメカニズムが必要。広帯域ローカルアクセスは先進国に限られる、途上国のアクセス問題はどうするか。
・ インターネットは、いま、まったく新しい段階に入りつつある。いままでの方法での普及はできなくなる?
・ ヨーロッパでは、インターネットの普及にとって3つの障壁がある。いずれも新しい経済原理と旧来のそれとのギャップの証明でもある。
まずアクセスで、これは電話会社に制限されている。インターネットでも、電話会社の売上が大きい。ISPの半分は電話会社だ。次に広帯域のアクセスで、これはまだ経済的にはジャスティファイできない。また、電話に対する規制が、インターネットにも適用されている。そして、強大な電話会社がインターネットを買収しつつある。これによって、インターネットの成長が殺されつつある。
したがって、インターネットについての新しいエコノミクスを議論する必要がある。
・ 近い将来、プロトコルやテクノロジーをめぐって大きなファイトが起きると考えられる。それに備えて、インターネットポリシーを議論する新しいフォーラムが必要だ。
・ 通信分野などで、先進国側のメーカーが途上国に対して、開発費の回収ができていない、旧式技術に依拠したマシンを、「先進技術」と騙して売りつけるおそれがある。
3 コンテンツの規制問題
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・ アクセスへの規制の実施、未成年者に望ましくないコンテンツへの規制をどうすべきか。政府に認証された独立機関が、ユーザーに対して、年齢・国籍を表示するIDを付与する仕組みが考えられる。ただし、強制ではなく、あくまで希望者のみに与える。
・ インターネットの明るい未来の姿に影を与える議論がヨーロッパでは進んでいる。違法なコンテンツへの規制を推進しろという勢力だ。PICS(Platform for Internet Content Selection)による自主規制が考えられるが、まだそれが有効だという証明はできていない。限界もある。
・ 未成年者の保護については、技術的な手段で本当に解決できるかは疑問だ。子供はいつでも有害な情報をどこからか探し出し、自分たちで回覧してしまう。親や学校の協力がなければ成功しないだろう。だから、親や学校が、子供たちにコンテンツの規制をしやすいような環境をつくらなければいけない。それも自発的にするように。
・ 何が「違法」なコンテンツなのかは、文化や歴史的経緯によって異なる。そこが難しいところで、国際的に一つの基準では簡単に統一はできない。
・ とすると、何が国際的なコーディネーションを本当に必要としているのか?
・ おそらく、最低限の統一、コーディネーションを国際的に行い、それ以上の部分は各国が自由に定めることになるのではないか。
・ 主権国家同士の競争が起きると考えられる。
・ では、スパミング(電子メールの無差別大量発信)はどう処理するか? 技術的には容易には防止できない。むしろ公的な教育が必要だろう。インターネットのもつ大きな可能性について、どうすれば市民の信頼を得ることができるか、教育が重要な政策課題となるだろう。
・ 我々はきわめて慎重に、熟慮する必要がある。場合によっては非常に緊密な国際コーディネーションが必要となるだろう。
・ 有害な情報の制限ばかり議論するのではなく、ポジティブなコンテンツの推奨も大事で、教育にもそうした要素を加えていくべきではないか
・ WIPO(世界知的所有権機構)は、コンテンツの流通についての国際的な枠組づくりを開始するのにはふさわしい組織と考えられるのではないか。
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