第3章 分野別の課題と方策
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インターネットの国際調整活動について、ユーザー側の要請を検証する形で、問題点、障害のありかと解決のための方策について、本会議では、3つのワーキンググループに分かれて検討を行った。
すなわち、個別テーマとして、1)ネットワークの機能性、2)電子商取引、3)コンテンツと文化価値を設定し、それぞれについて、小グループに分かれて詳細な検討を行った。
各グループでの検討内容は、いったん中間報告として全体会で議論され、さらにその内容を踏まえて、最終的に、各グループによって以下の報告・具体的提言がまとめられた。
各議論の内容については以下に記す通りだが、全体を通して共通の課題として、インターネットの諸課題について、新しい国際的な場を形成し、恒常的な取組み、相互理解の推進を図ることの重要性について、合意が形成されたといえる。
1 ネットワークの機能性について
インターネットのもつ機能面に着目し、ネットワークの発展への障害となっている問題点およびその解決方法について検討した結果、以下のような点が確認・合意された。
問題点
1) インターネットの機能面での成長発展への障害
ネットワークの機能面での発展を妨げている、現在もっとも大きな障害の一つとして、地域における広帯域アクセスが存在していないことがあげられる。ケーブルモデムやxDSLなどの新技術について、標準化が遅いことも一因である。電話会社の既存の価格構造も、これら新しい高速サービスの急速な普及の妨げとなっていると指摘できる。たとえば、たとえ技術的には可能であっても、低価格でのxDSLのサービスはなかなか提供されない。電話会社は、同じ速度幅での、より高額の専用線サービスからの移行を恐れるからだ。換言すれば、電話会社にとっての「カニバリズム問題」が大きな障害となりつつある。
2)規制政策を含む旧来の制度がもたらす影響
第二番目の種類の障害とは、たとえば回線交換技術・サービスの時代に実現された価格やその他の枠組みをめぐる規制のような、旧来の制度がいまだにもっている影響である。電話についての「ユニバーサルサービス」という考え方そのものでさえ、インターネットの発展にとっては、いまや障害として機能する可能性がある。
公衆回線交換ネットワークの普及のように、大規模に、計画的で、しかしゆっくり進められてきたいわゆる「テレコ・メンタリティ(電話会社の発想)」も、この種の障害と考えられる。多様な可能性のある複数の技術を模索せず、光ファイバーという単独の技術で万能の解決ができるといった特定技術への固執も、障害となる可能性があると指摘された。
インターネットのプロバイダー(ISP)相互の、地方、全国、地域および国際レベルでの、それぞれの相互接続・エクスチェンジ、ピアリングについての明確な方針の枠組みが欠落していることも、今後のネットワークの発展にとっての障害となるい可能性があると指摘された。これには、透明性と業界内の均一性という2つの問題がある。国際専用線の価格と、米国の主要バックボーンプロバイダーによる米国以外のISPに対する接続料金(いわゆるポートチャージ)も、アジア太平洋のISPによって問題提起されており、相互に合意できる枠組みが必要となっている。
3)インターネットに関連して解決が迫られているグローバルな政策課題を論議する有効な枠組みの欠落
三番目の障害は、より制度・社会にかかわる問題である。
ドメインネーム・番号問題が如実に示したように、インターネットの多様な利害関係者同士が論議し合意に至るためのグローバルに有効な枠組みが存在していないことそれ事態が、インターネットの発展を妨げているといえる
4)他の分野の障害
西暦2000年問題(「Y2K問題」)も、インターネットの発展にマイナスの影響を与え、場合によっては信頼性を損なう深刻な問題となりかねないことが指摘された。Y2K対策をされてない旧式のルーターに始まって、Y2K問題に伴って求められる追加投資の負担はネットワーク機能を制限する可能性がある。同様に、IPアドレス空間を拡張するための、現行のIPバージョン4から同バージョン6への移行も、インターネットの円滑で安定したオペレーションへの大きな試練となるかもしれない。品質保証(QoS = Quality of Service)問題も、注目されるべきである。グローバルに統一された品質保証の基準は現在存在しておらず、その欠落も今後の発展への障害となる可能性がある。
具体的行動への提言
これらの議論に基づいて、以下の点について、国際間でのコーディネーション作業と枠組みが求められ、そのために具体的な行動することが必要と考える。
まず市内の広帯域アクセス問題を検証したが、この分野は標準化を除けば国際的な調整作業はとくに必要ないとの結論に達した。以下は、十分な国際コーディネーション作業が必要と考えられる分野である。
1)技術的解決の探求
本ワーキンググループでは、主要な技術的解決を探求することを提言することで合意した。IPV4から同V6への移行やY2K問題は、今後問題となる可能性がある。キャッシングもまた、知的所有権 (IPR)との関連においては、技術以外にも国際間調整が必要になるかもしれないと考えるが。ただし、具体的にだれがどのような形でこの問題の解決を図ればよいかについては議論されなかった。
2)国際標準化の推進
インターネットのサービスについての品質を国際的に定義する必要があると指摘された。高速の市内アクセスについては、xDSLモデムやケーブルモデムが標準化についてんくぉ国際コーディネーションが必要と考えるが、詳細は議論されなかった。
3)インターネットの政策課題について国際的に討議するフォーラムの創設
本グループは、インターネットの政策課題について国際的に討議するためのフォーラムの創設を強く提言することで合意した。ドメインネーム、IPアドレス、ネットワーク・プロトコルを扱う国際組織の創設のために臨時に組織されたIFWP (International Forum on White Paper) での経験は、この点について参考となる教訓を提供するものと考えられる。この種のフォーラムを運営する上での原理としては、以下があげられる。
・ 民間主導
・ オープン、公正で、だれにも開かれたプロセス
・ 参加資格は最小限にする
・ 政府の参加も最小限にする
・ 地域の多様性を最大限に確保すること
また、すべての手続処理を扱う組織は、インターネットのもつ柔軟な適合性とバイオダイナミクスをよく反映したもので、IFWPに適切な修正を加えたものをモデルにすることを提言することで合意した。
IFWPが成功した理由としては、その機能を限定したことがあげられる。IFWPの実行委員会は、実際の組織の方針などの内容を議論するためのオープンなプラットフォームの提供に集中し、方針決定自体には関与しなかった。ただし、IFWPには意思決定のための明確な手順が確立されていなかったために、混乱を招いた面があったことも指摘された。
また、以下の諸問題については検討は行ったものの、具体的な提言をまとめるには至らなかった。
・ コスト分担方法を含む対等な相互接続のための、手続きの透明性について
・ インターネット電話の世界規模での自由化について
・ 最小限の規制についての長期的な同質性の確保について
・ 新規のアプリケーションやサービスについて非対称規制を含む、規制の最小化について
その他、ネットワークの機能を影響する要因について、項目別の検討を行った。また、米国、ヨーロッパをはじめ、世界中で、米国における「エンハンスト・サービスプロバイダーの除外措置」を除いては、インターネットをとくに優遇するような政策はあまり存在しないということを確認した。インターネットの発展のためには、規制はかけたとしても最小限にとどめるべきだという点では、メンバー同士の基本的な合意が存在した。
2 電子商取引
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インターネットの発展のなかでも、今後は電子商取引が急速に伸びるものと予測される。しかし、電子商取引が順調に発展するためには、国際合意・調整活動を必要とすることは言うまでもない。以下は、電子商取引の発展のために望ましい方策について、課題と解決方法を中心に検討した結果合意された内容である。
1)全体概要
グループBでは、電子商取引に関する諸課題について、昨年のこのAIRIT会議で出された提言に沿い、またWTO(世界貿易機構)やOECDなど他の国際的な場で出されている課題も視野に入れて検討を行なった。一般的には、我々は電子商取引はグローバルな視点に立って、民間および公的分野の双方による国際的に足並みのそろった行動を必要とする考える。同時に、我々は電子商取引の慣習は十分熟成しつつあると考える。したがって、電子商取引について、商取引一般と比較して特別の処理を与える必要性は、もはやあまりないと考えられる。電子商取引についてのルールは、単なる商取引一般のルールと同じものになりつつある。にもかかわらず、ここでは電子商取引についての全体目標と行動についての若干の提言を行うものである。
2)電子商取引の目標
1)電子商取引は市場主導で、民間企業が競争環境において推進すべきである。
2)電子商取引はグローバルに生産性と経済活動の増大をもたらす可能性をもち、したがって、企業、政府および消費者は協力して、買い手と売り手の間に信頼と確信を構築していく必要がある。
3)政府は電子商取引の具体的な流れに沿った形で、電子商取引を支援し、予測可能で一貫性のある法律および規制環境を創出しなければならない。
4)電子商取引についての規制は、これまでの商取引についての規制と同等以下の負担にとどめなければならない。
3)具体的行動への提言
1 電子商取引についての国際市場のリーダーシップは民間企業がもち、政府および国際機関は、これを側面から支援すべきである。具体的には、以下が考えられる。
1) 電子商取引の契約についての「統一商業コード(UCC)」の開発(政府はこれらの基準を認証する)。
2) トラストづくりについてのメカニズム、たとえばオーセンティケーションの開発(政府は認証機関(CA)など民間企業による組織について、最小限の基準をつくる)
3) 既存のおよび可能性のある民間業界団体に対して、一般市民に電子商取引に関する課題について教育し、情報センターないしコーディネーター機能をもつよう奨励する
2 政府が原則として主導すべきと考えられるのは、以下のような分野である。
1) WTOの方法に沿って、各国が電子商取引について市場を開放することを奨励することおよび、貿易ルールの遵守・参加を改善すること
2) 公正な競争と課税に適用される基準の開発・制定
3) 電子商取引に関連する消費者保護とプライバシーについての安全ネットの創出
これらの提言を受けて討論が行われた。主な意見は以下のようなものである。
・ 電子商取引に関する統一商業コード(UCC)の可能性について、政策担当者は既存のUCCで情報商品を扱っている第2条Bの草案を考慮に入れるべきだ。
・ 貿易・業界団体について、情報センターあるいはコーディネート機能をもつべきだという点については、すでにそうしたグローバルな電子商取引の業界団体があって、リーダーシップをとれるのではないかとも考えられる。たとえば、国際商工会議所がその候補として上げられる。
・ 各国に電子商取引のための市場開放を奨励するプロセスにおいては、とくに通信の市場開放を推進することから始めるのが有効ではないか。これをWTOの次期ラウンドでの重要課題にすることも考えられる。
・ ITUのような国際組織が、開発途上国をグローバルな市場に参加することを助ける上では重要な役割を果たすものと考えられる。
3 文化的価値とコンテンツ
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ネットワークの社会的な側面、とくに文化的価値とコンテンツの問題については、ポルノ問題などを含め、インターネットの利用発展にとって深刻な問題点となる可能性もあり、とくに国際的な協調活動が必要であり、かつ困難であると考えられる。
これらの問題について、以下のような課題の指摘と提言がまとめられた。
1)主要な問題
新しい電子メディアにおけるコンテンツの分野は、発信者、消費者、メディアなど広範な範囲の問題にかかわる。オープンで公平な市場を創出するためには、市場における異なる主体にの権利と責任とについての慎重に考慮することが必要となる。さらに、新しいメディアは、文化的な素材を維持・伝達することや、社会的にセンシティブで、反対の強い、あるいは好ましくない内容の情報へのアクセスをどう管理するかといった、一連の問題を提起している。
一義的な目的は、これまでと同様に、コミュニティに属する市民に対して可能な限り広範囲の合法的なコンテンツへの最大限のアクセスを保証しつつ、メディアの制作を推進するために、創造活動に携わる人々の権利保護を図ることである。
これらの目的を実現する上での障害としては、国際的な情報の流れの複雑性、既存の法体系の存在、これらの新しい情報の流れを支える国際的な法的・規制上の枠組みや紛争をタイムリーに解決する仕組みの欠如などがある。
また、こうした環境の変化は急速に起き、商業的な関心を引きつけている一方で、世界の人口の大半は依然ネットワークに接続されておらず、自分たちの将来を決める重要な問題の存在に気がついていない。
コンテンツとその提供についての基本的な問題とは、コンテンツにまつわる活動を対象とした司法権の重要性を認識することである。特定のコンテンツについて規制している国があったり、知的所有権についての規定が司法権によって異なるといった問題である。したがって、コンテンツの発信側と利用側とのそれぞれの司法権を特定することは、コンテンツを合法的に適切に利用することを促進する上での重要なデータとなる。
2)背 景
このグループでは、広範な問題を討議し、以下の基本原理を導いた。これらの原理が具体的な提言の背景となると考えられる。
原理1
可能な限りにおいて、非政府型の行動を信頼すべきである。それには市場原理に基づいた自主規制、デジタル署名のような技術手段などが含まれる。
原理2
ガバナンスやその他の行動は、可能な限り低位レベルで行われるべきであるという「サブシリアリティ原理」に従うべきである。すなわち、国内での行動で十分な場合には、国際的な行動は避けるべきである。個別の業界による共同行動で十分な場合には、業界を超えたグループの行動は避けるべきである。
原理3
個人などの主体の属性(地理的な位置や年齢など)を識別できる情報が求められる場合には、該当する目的に必要な最小限度の情報の要求にとどめ、なおかつ可能な限り個人のパーソナルなアイデンティティは隠されるようにすべきである。
原理4
電子的な分野での行動は、可能な限り、物理的な分野でこれまで展開されてきた行動に沿うべきであり、技術は効率化と公正性を実現するために利用されるべきである。現在の電子環境はその発展の初期段階にあり、急速で多元的な変化の途上にあり、またインターネットの接続のための機器の種類、速度の面でも急激な変化が起きつつあると認識すべきである。このために、互いに異なり、しばしば補完的な役割をもつ技術(たとえば情報の発生源と利用先におけるフィルタリング)が、こうしたダイナミックな変化の時期には必要となる。
3)具体的な行動のための提案
1 メディアの可能性の理解と投資・振興を
このメディア(インターネット)は低コストで、グローバルなリーチをもち、コンテンツがシンプルで容易に制作・発信できるようにすべきである。このメディアのもつ多大な可能性に鑑み、我々はこのメディアが、教育および文化的な価値の獲得、維持、促進そして交流・伝達に大きな力を発揮することに十分な理解をすべき必要がある。これは、互いに異なる文化の内部およびそれらの相互の関係にいずれについてもあてはまる重要な点であり、文化的な価値を電子的な空間へと拡大することを奨励する政策が制定されるべきだと考える。コミュニティは電子的な空間が文化の伝達において(いずれはテレビと同等の)物理的なインパクトをもつことを認識し、このことについては無条件で理解し、こうした価値についての獲得・伝達のために必要な投資を適切に行い、国や文化の境界の内部や異なる相互の境界間で、文化的価値の振興、保持のために明確な振興政策を推進すべきである。
このメディアは、それ自体が、新しいグローバルな文化の一部であり、競争の技術的な基盤を提供する。従って、政府は学生たちに対して、なるべく早い時期から、インターネットと関連する技術についてのアクセスと実務的な知識を提供することに努めなければならない。、教員に対しては、教育上の素材やコンテンツの開発およびこの新しいメディアの利用方法についてのトレーニングの重要性は、明確に明らかにすべきである。
子供たちに十分な教育を行わないことによって失われる価値は、民族固有の文化的価値の損失の可能性を含めて、きわめて大きく、無視できないものがある。政府はこれらの取組みを支援することの重要性を理解し、コンテンツの分野における民間分野の発展と彼らによる貢献を促進するようにすべきである。
グローバルなコミュニティの相当部分がこの新しいメディアから切り離されることを避け、このメディアへの公平なアクセスを増大させるために、グローバルな資源への高度なアクセスの増加と各地域独自のコンテンツの制作および伝達を具体的な目的とする啓蒙プログラムが、先進国および国際援助機関によって開始されなければならない。
2 コンテンツへのアクセスの規制と推進
電子的な世界では、メディアのコンテンツがもつ範囲、品質には大きな格差が生じると考えられる。これらのコンテンツの大半は、そのコミュニティのメンバー全員にとって望ましいものと考えられるが、なかにはある個人にとって(たとえば自分が望まない広告のように)、あるいはそのコミュニティのなかの一部のメンバーにとっては(未成年者にとってのポルノのように)、望ましくなかったり、あるいは国家によって制限されるもの(一部の司法権における賭博のように)もありえる
現在は、情報の提供者に対しては、情報そのもののアイデンティティを独自に証明することは要求されず、したがって不適切なアクセスサイトの登場を可能としている。アクセスへの規制を実現するためには、ユーザーインターフェイスのレベル(現在はそのほとんどはブラウザ―を意味するが、いずれ急激に変化するだろう)でのフィルタリング、ネットワークのレベルでのフィルタリング、そして発信源でのフィルタリングという、複合的な技術手段を必要とする。
発信源でのフィルタリングには、ある個人に情報を配信することが適切かどうかを発信サイト側で判定することが必要となり、それにはステータス(たとえば年齢)や司法権(たとえば国内での規制の存在が知られ、遵守されるための住所が)について技術的に識別することが必要となる。
消費者にとって、自分の属性に関する情報(ポルノサイトでいえば年齢と居住地)は、信頼できる組織(おそらく政府によって認可された機関、ただし政府そのものである必要はなく、望ましくもない)によって独立して証明されるようになることが望ましい。この年齢と居住地という二つのデータ項目のみが必要で、それ以外の個人の属性についての情報が伝達される必要はないことに留意すべきである。これはそうした証明を必要とするユーザーからの要求に応じて、独立した権威ある機関によって認証が提示されることで実現できる。この認証は自発的なものでなければならず、コンテンツ提供者はその認証がアクセスが適切であることの証明であると信頼でき、その認証がなければそのサイトあるいはそのサイトのいかなるコンテンツへのアクセスでも制限できるものでなければならない。
我々は、ユーザーに対して自分が要求しないのに配信されるあらゆるコンテンツ(たとえば広告)については、顧客自身が明確にそれらの素材を選択し、受け取ることに合意したものであるべきと考える。ここでも、アイデンティフィケーションの証明方法は、数多くの形態、異なるレベルの詳細に分かれる可能性がある。販売にあたっては、最小限必要なデータだけに限って提供されるようにしなければならない。これらのサービスは、ほとんどの場合は民間企業によって提供され(場合によっては当初は政府が法的なステータスについては証明する必要があるかもしれない)、国境を超える認証にあたっては政府の認定を受けるものとなるだろう。我々は、こうした機能はコンテンツの制作・流通、コンテンツに対する商業的なアクセスをを可能にする強力な補助手段になると考える。この機能を実施するために、新しい国際的な合意や国際組織はとくに必要ではないが、悪質な主体や違法なコンテンツの「ヘイブン(天国)」に対しては、国内もしくは国際的な組織によって、国際的な法律体系に従うように、制裁が与えられる必要がある。
3 電子的な公共アクセス
情報またはデータが政府組織によって一般に提供される場合には、これらのデータが電子的に提供される際には、物理的に提供されるときのコストを上回るべきではなく、できれば無料で提供されることが望ましい。政府は個人を特定できるようなデータの収集とその集計に伴うリスクについては十分注意し、ID番号のような個人を特定できるキーは一般公開からは削除すべきである。個人の特定が容易にできる情報は、詳細な郵便番号なども含めて、個人情報に関するOECDのガイドラインを遵守しなければならない。
4 プライバシー保護
OECDのルールは、プライバシーに関しても妥当な基本線を提供するものといえる。産業界および各国政府が共通の考え方に到達することを奨励する。とくに関心が高いのは、調停などの領域での、迅速な紛争処理のためのフォーラムまたはプロセスの必要性である。これによって、個人情報とプライバシーを適切に認識・尊重した上でのモノやサービスの流れの増大に寄与すると考えられる。
5 知的所有権について
知的所有権は、現在はWIPO(世界知的所有権機構)によって96年12月に制定されたものが適用されている。WIPOは最低限の基準を定めたもので、各国政府はさらに追加的な保護制度を加えることが可能となり、事実そうしている。WIPOは民俗芸術の権利とデータベース(とくに公的なデータの収集とそのフォーマット化およびそれらのデータの保護)など、特定の分野に関する権利については合意に達しておらず、これらの重要な分野については早急に解決されること求められている。データベースの伝送をめぐる国際的な紛争解決のためにどのような場がふさわしいかという点については、明確な結論が得られなかった。
コンテンツおよび文化価値に関する提言についても、全員による討論が行われた。主な意見は以下のようなものである。
・ 年齢や国籍など、利用者の属性を示す識別IDは、情報アクセスについてのものに限定すべきだ。
・ 個人識別IDは、政府が情報の自由なアクセスを制限するために利用される可能性がある。政府が意図的に利用しようとすれば、制限することは不可能だ。
・ この識別IDは、責任の所在をアクセスの提供者(ISP)から、特定のサービス提供者へと移動させるだろう。
・ インターネット上では、法律によって規定される区分は、「国籍」ではなくなるのではないか
・ サイバースペースでも、政府の役割は無くならない
・ 国家は逆戻りはできない。自主規制モデルは、国家による司法と相互補完関係にあると考えるべきだ。
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