5 ヌサンタラ-21(NUSANTARA 21)
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先進国によるGII(グローバル情報インフラ)プロジェクト、隣国マレーシアのMSCやシンガポールのSINGAPORE ONEなどの国家情報化推進計画に大きく触発されたインドネシア政府は、1997年を「電気通信ネットワーク年」と定め、国家による情報化推進計画としての「ヌサンタラ-21(NUSANTARA-21)」プロジェクトが、スハルト大統領によって発表された。「ヌサンタラ」とは「インドネシア国土」の別称である。
これは、2001年までにインドネシアの27州都をスーパー・ハイウェイで結び、マルチメディア・シティー、マルチメディア・コミュニティー・アクセス・センターを構築し、各種アプリケーションを導入することにより、インドネシア全体の情報通信の社会基盤整備を実現しようとする国家計画である。次頁イラストに見られるように、「いつでも、どこでも」新しいネットワークを利用できるようにするという構想である。経済危機以前には、世界銀行の350万ドルの融資を利用し、現在テレコムが所有する電話網とパラパ衛星、海底ケーブルを活用し、その範囲を徐々に拡大してゆく方針であった。
この構想は、観光郵電省のパラパック次官を中心にまとめられ、推進されてきた。パラパック氏は前インドサットの社長で、電気通信の世界では東南アジア地域を代表する論客として知られ、ITU(国際電気通信連合)次期事務総長への立候補が予定されている。
ただし、経済危機のなか、少なくとも当面は、通信インフラに対して大規模な投資を行なうことはきわめて困難と考えられる。国内的にも、ヌサンタラ-21は当初郵電省が独走気味に進めた経緯があり、産業省などの他省庁は必ずしも積極的ではなかったようだ。また、テレコムも別途「テレマティカ」というプロジェクトを掲げるなど、同様の構想が乱立気味の様相もある。98年3月、バンドン工科大学のインターネット推進メンバーが、計画の見直し作業に着手しているという情報が入った。今後、相当規模で修正されることは十分考えられる。
1)ヌサタンタラ21の目標
ヌサタンタラ-21の基本目標は、以下の通りである。
a) 社会経済格差の是正
< Reduce gap between socio-economic levels in Indonesia >
b) 国内産業、とくに IT 産業の成長奨励
< Encourage the growth of national industry, particularly industry in
information technology >
c) 効率的かつ有効的な行政の実現を促進
< Assist the realization in conducting an efficient and effective
government >
d) 教育・教授法の改善
< Improve education and teaching >
e) 豊かな自国文化の保護
< Conserve the rich national culture >
f) 他部門の成長の奨励
< Encourage the growth of other sectors >
g) 情報アクセスの均一化
< Distribute information access >
2)プロジェクト推進の骨子
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実際の推進方法としては、以下のような骨子でのプロジェクト展開が計画されている。
a) 有効と思われるあらゆる技術を活用する
< Utilize all technologies which are considered to be supporting >
b) 情報ハイウェイの構築( Nusantara highway, urban highway)
< Establish a complete information highway >
c) 密度に執着するよりも、アクセシビリティーの向上に重点を置く
< Development of infrastructure in form of information highway,
emphasizes more in "accessibility" rather than just densiity target >
d) 概念化、企画、調査、技術革新は、早期から強調されている
< The processes of conceptualization, planning and research,
as well as innovation are quite emphasized in the early stages >
e) 国内外の有効な資源の動員
< Mobilization of competent national resources and foreign resources >
3)基本概念
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・ヌサンタラ-21の構想、企画は、適切な研究者と企画者によって打ち出され、
政府の認可を受けることになっている。
・ヌサンタラ-21の構想とマスタープランは、政府と共に参画する私有企業が
参入できるべく、広く公表される。
・ヌサンタラ-21は構想とマスタープランに基づいてのみ運営される。
このマスタープランは徐々にアップグレードされる予定である。
4)規制と協定
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ヌサンタラ-21の成功に向けて、インドネシア政府は電気通信および伝送に関する法律や著作権法等の設定が必要になると考えている。また、情報配分の不平等に関して、政府は USO(Universal Service Obligation)を適用している。
参考(ヌサンタラ-21オフィシャル・ホームページ、第4章より)
REGULATION&ARRANGEMENT
Regulation and arrangement in various sector and branches of way of life of the community will take important position in the framework of achieving the target of NUSANTARA-21, because as infrastructures of information which will connect the whole Nusantara with the whole world in the framework of competitive power and leadership of Indonesia in global constellation in the future, then NUSANTARA-21 offers new processes in conducting life in the state and in the community, in order to be more efficient, effective, and accurate in every branch of life, especially strategic branches.
Therefore, the existence of laws, regulations, or the right and harmonious arrangement with the development and utilization of NUSANTARA-21 will represent the main and important activities
The role of the Law on Telecommunication and Transmission, and several other laws such as Law on Copyrights will be instrumental in the development of and utilization of NUSANTARA-21. Protection of copyrights, information security, and private life as well as legalization of electronics documents become important issues which must be settled by law. In relation with the development of NUSANTARA-21 it is also necessary to regulate the possibility of the development of national industry which can supply technology and services needed during the development process.
In overcoming the anxiety about the uneven distribution of information access, which is also the case in all countries, Indonesia in its regulation has put USO (Universal Service Obligation) into force. For every business company operating in the field of conducting telecommunication services in Indonesia the target of research and development program and the target of human resource development program are taken from annual business revenues. Thereby even distribution program of development, improvement of skill and expertise, as well as development of research can work in line with development of NUSANTARA-21.
5)主なプロジェクトと達成度指標
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ヌサンタラ-21の遂行にあたっては、物理的なインフラとして、
1)列島スーパーレーン(Archipelagic Super - Lane)
2)マルチメディアシティ(Multimedia Cities)
3)マルチメディアコミュニティ・アクセスセンター
の3種のプロジェクトが計画されている。
これらのプロジェクトでは、項目毎に計画達成度を測る指標が設定されている。また、アプリケーション分野でも、政府、各産業分野毎に指標が設定されている。
以下に紹介するのは、ヌサンタラ-21の公式ホームページ(http://shinta. sisfotel.net.id/nusa21/eng-menu.html)に掲載されている指標で、1997年、99年、2001年という3段階にわたる詳細な数値が記載されている。
ところで、現在も配付されているが、97年1月時点印刷版の資料では、詳細な数値はなく、年次も、2001年のみが記載されている。
1). 物理的基盤開発
・列島スーパーレーン(Archipelagic Super - Lane)
これはインドネシアの27州都全てをSDH(Synchronous Digital Hierarchy)やATM技術といった高速バックボーン回線でネットワークに接続する計画である。当初は155Mbps、2001年までには最低2.4Gbpsの回線速度で結ぶ予定である。
世界最大の多島国であるインドネシアは、この列島スーパーレーンに、"RING OF RINGS" というコンセプトと名称を選択した以下の図に見られるように、主な島の内部にリング状のバックボーン・ネットワークを構築し、それらを段階的に相互接続するという構想である。
列島スーパーレーン達成度指標

(Archipelagic Super - Lane Milestones Indicator)
・マルチメディアシティ(Multimedia Cities)
マルチメディア・シティーとは、SDH 'ring' や光ファイバーが利用でき、市内全域で中程あるいは幅広いバンド接続ができる都市をいう。以下の図のように、主要都市毎に、やはりリング型のバックボーンを展開し、それらを相互接続していくという構想である。
マルチメディアシティ達成度指標('Multimedia Cities' Milestones Indicator)

・マルチメディアコミュニティ・アクセスセンター
(Multimedia Community Access Centers)
マルチメディアコミュニティ・アクセスセンターとは、広帯域公衆電話、広帯域ビジネス・センター、ネットワーク電子図書館、マルチメディア・コミュニティー・キオスク等の利用を可能にするものである。このサービス・ポイントは、テレコムとインドネシア郵便局(POS INDO)によって管理される。2000年をめどにパラパB、C、D衛星や、ガルーダ衛星、PSCサテライト・システムなどの廉価な衛星通信に移行させる方針である。
マルチメディアコミュニティ・アクセスセンター達成度指数

'Multimedia Community Access Centers' Milestones Indicator
2) 政府部門
・行政業務 : Conducting Government
ヌサンタラ-21によって、インドネシア中央統計局(BPS)を含む国家高等研究機関における効率的で効果的な、中央及び地方レベルでの行政業務を推進する。具体的には、中央データ・ポイントを各所に設置することで、政府機関内の内部共同体間の情報整理が容易に行えるようになる。
また、インドネシア国内の空港や港湾は、計画の進展に従って、外貨獲得高が増加し、サービス向上につながる。都市部の問題はテレコミューティングによって容易に解決する。ジャカルタでは、首都として、政府の中枢機能およびインドネシアの社会経済の中心として、計画推進に向けた政府の活動が実行される。
・BPSを含む、内閣の全ての省庁は、その活動・管理の実行にあたり、IT(情報)技術を利用する。
・インドネシア全土の主要港及び国際空港は、卓越したIT技術を装備することにより、他のASEAN 諸国に匹敵する競争力を得る。
・優秀で競争的な公共事業のための骨組みとして、全ての公共機関はホームページで情報公開し、電子的手段で相互のコミュニケーションを行なう。
行政業務達成度指標('Conducting Government' Milestones Indicator)

・教育分野
教育分野では、すでにヌサンタラ-21の実用に向けて準備が整いはじめている。教育、科学フォーラム、入学手続き等の活動のため、オープン・ユニバーシティ(OPEN UNIVERSITY=UT : Unibarsitas Terbuka)を含む主要な国立、私立大のネットワーク接続が開始されている。また、高等学校、中学校、小学校もヌサンタラ-21に含まれる。
ヌサンタラ-21に参加する全ての教育機関は、電子図書館の利用、相互情報交換が可能となる。また、大学においては、学生同士の調査・討論が支援される。これは次世代のグローバルな情報共同体にむけて、全てのインドネシア人が参加できるようにするためである。
教育分野達成度指標('Education Sector' Milestones Indicator)

・保健衛生分野
比較的少数である病院、医療職員がヌサンタラ-21のような基盤に参加することは、国家健康部門の指導面で重要であるとみなされる。距離や場所に左右されない情報交換や保健衛生サービスは、より多数のコミュニティー構成員にとっても便利である。
また、国内の医療エキスパートがグローバルに活動することも期待できる。「テレメディシン」技術はすでにいくつかの大学と大病院で準備され、「テレ心臓病学」など、様々な形で現われている。
実行可能な計画の例:
・中央病院と地方健康保健センターとの接続
・医師の、診断のための病院データ・センターとの接続、コミュニケーション
・医療関連文献への検索
・レントゲン写真や電子放射線照射等の診断材料となる資料の情報交換
保健衛生サービス達成度指標('Health Services' Milestones Indicator)

・研究調査分野
広域情報ネットワークを利用した研究調査は、インドネシア科学技術研究所(LIPI)、バンドン工科大学(ITB)、テレコムによって設立された研究情報基盤(INFORIS=Research Information Infrastructures)により、1993年から開始されている。ヌサンタラ-21がINFORISの能力を拡大することによって、研究・開発、改革計画の実務は、リアルタイムで集中的かつ効率的に行われるようになる。
・研究調査分野達成度指標(Conducting Research Sector' Milestones Indicator)

・文化分野
ヌサンタラ-21は、一般人がいつでも簡単に楽しむことのできるギャラリー、博物館、文化センターを兼ね備えたウェブ・サーバーを提供する。現在すでに、アーチスト個人によるヴァーチャル・ギャラリー的なホームページがある。また国内だけでなく、国外アーチストとの協力により、独特なインドネシア文化のさらなる成熟を目指す。
文化分野達成度指標('Culture Sector' Milestones Indicator)

3) 民間分野
・銀行業
インドネシアにおける銀行業の急成長、支店の発達ぶりからわかるように、銀行業は ヌサンタラ-21 のようなインフラの最大の利用者となりうる。国立中央銀行では、すでに電子銀行システムによる受け付けが始まっている。これには、データの安全性と取引の機密性が重要となる。
銀行業達成度指標('Banking Industry' Milestones Indicator)

・鉱 業
インドネシアにおいて、遠隔地を含めて事業を行っている鉱業は、今だに重要な役割を占めている。また鉱業は各地方から中央へ大量のデータを転送する。
ヌサンタラ-21によってティミカ/クアラ・ケンチャナ、ナツナ島、バリクパパン、アチェなどの主要な鉱業地帯の業務が支えられるようになるだろう。
鉱業達成度指標('Mining Industry' Milestones Indicator)

・製造業
インドネシア全国各地に存在する大規模な製造業企業は、ヌサンタラ-21によって、とくにその供給者とのコミュニケーションの点において、生産性を高めることができるようになるだろう。また、様々な組織の製造過程におけるチェーン・リンク(たとえば開発部門と生産部門、戦略部門と生産部門)間の情報交換の即時性、正確性も高まる。
グラフィック・デザインや広告のプロダクションなど、規模は小さいが大量の情報転送を必要とする企業にとってもまた、ヌサンタラ-21は効果的だろう。さらに、外国企業とのネットワーク接続によって、世界の技術進度を指標に開発することができるようになる。同様に、グループ企業の CAD / CAM データを共有すれば、研究・開発がさらに効率的になる。
製造業達成度指標('Manufacturing' Milestones Indicator)

・観光産業
観光産業はインドネシアの外貨獲得の主要産業である。また、観光産業は、地方共同体およびグローバル・マーケットの取引の上で、情報発信が非常に重要となる産業である。従って、必要とされるバンド幅は種々多様かつ主要であるが、情報基盤のバンド幅が広ければ広いほど、観光産業の成長とオペレーションの効果的なサポートとなる。
観光産業の達成度指標('Tourism Industry' Milestones Indicator)

・一般商業・小売業
インドネシアのような広域にまがたる開発途上国では、一般の商業、流通は急激に進歩し、ヌサンタラ-21のような設備支援を必要としている。
・一般商業・小売業の達成度指標('General Trade and Retail' Milestones
Indicator)

6)ヌサンタラ-21セミナーより
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[ 6章 ]
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1997年12月17日・18日、バンドン工科大学で、NIIおよびヌサンタラ-21をテーマとするセミナーが開催された。このセミナーでは、基調講演者として、ヌサンタラ-21推進の中心人物である、ジョナサン・パラパック郵政次官が登場し、テレコム、インドサットなどの事業者のトップも顔を見せ、インドネシアにおける情報インフラ構築計画に関係者の大半が集まったといえ、合計約200名ほどが参加した。
インターネットの関係者も一部登場し、パネル討論などに加わってはいたが、主要なシーンに登場していたとは言い難い。
以下は、セミナーの第一日のプログラムの翻訳である(原文インドネシア語)。

次に、テレコム社長のナスチオン氏によるスピーチ概要を紹介する。
国家情報基盤構築−国家電気通信・情報管理の視点から
Nasional Seminar for TELEKOMMUNICTION and INFORMATION
A. A. Nasution. MSc, Principal Director & CEO
PT. TELEKOMUNIKASI INDONESIA
1. 背景
世界のグローバルな変化と電気通信・情報技術の進歩は、全世界的な経済成長を促す。これはアメリカ、ヨーロッパはもとより、ASEAN 諸国や中国を筆頭としたアジア太平洋地域の経済成長ぶりから顕著である。
グローバリゼーションとは、情報化社会と自由貿易時代をもたらす、自由でグローバルな競争を意味する。グローバリゼーションの特徴を私は以下のように捉えている。
1. 人間、物、サービスの移動性が国や時間に制限のないアイデアや創造力を生む
2. ある製品あるいはサービスの導入やマーケティングは、ほぼ全世界において同時に行われる
3. 国境のない世界 - 国内企業と外国企業の提携など
4. 情報公開による競争の激化による専売企業や官僚主義の衰退
2. 電気通信技術・サービスの典型のシフト
技術基盤の変化は、電気通信技術、情報技術(コンピューター)、そして放送(娯楽)技術という3つの技術に進化、革命、融合をもたらした。たとえば、電気通信は電報からデータ通信へ、情報技術は大型コンピューターからPC、そしてラップトップへ、放送(娯楽)技術は出版物からフィルムやビデオへ、そして現在ではMPEG2へ、といった具合である。
電気通信と情報技術の進化、融合のクライマックスはインターネット技術である。それは時代の進歩に歩調を合わせた柔軟なの能力によって様々な重要点をもっている。
また、電気通信サービス部門に於ける根本的な変化は、古い典型から新しい典型へのシフトをもたらした。ユーザーとの相互作用による可動性(モビリティ)と幅広いコミュニケーションが時の、そして次世代の要望となったのである。具体的には、
1. これまで別々に行われていた電話、ファックス、データ通信そしてビデオといったコミュニケーション・サービスが、今ではマルチメディア・サービスとして一つにまとめられている。
2. ターミナル・ナンバー、または電話番号によって行われていた接続が、受信者のデータから直接行われたり、個人番号制や携帯番号によって行われるようになった。
3. 電気通信サービスのデジタル・セルラー技術による第3世代のPCS /PCNとGMPCSへの移行。
4. コミュニケーション・サービスが、より簡単で高度なインテリジェント・ネットワークへと向かう傾向を示している。
3. 電気通信および情報サービスのビジネス動向
電気通信および情報サービスのビジネスは、以下のように縦断的な階層構造から水平構造へと移行するだろう。
1. 縦断的な部門別の業務は、製品の種類によってはライセンス問題などの制約が生じる。効率の悪い企業は、最終的には品質低下や消費欲衰退を生じる。今日の技術進歩・転換は、専売企業の不振を招くであろう。
2. 将来的な傾向は水平構造ビジネスである。これはある一つの企業だけが、情報提供、コンテンツ提供、サービス提供、情報基盤構築、そしてハードウェア製造を独占し、他の企業にライセンスを出すというものである。
ハードウェア、ソフトウェア技術がマネージメント面と共に成長することにより、インターネットも、PSTN(Public Switch Telephone Network)と比較して低価格、アクセス効率等の点で優れたものになる。
インターネットの大きな利点は、電話会社にとって、PSTN サービスの脅威にも、新しいビジネス・チャンスにもなりうる。これはフィリップ・タリフィカ(Philip Tarifica)氏が1997年にまとめている。PSTNサービスへの脅威は、国際通信と長距離通信である。
たとえばAT & Tは、1997年から2001年にかけて、インターネット電話が500万ドルから2億千万ドルへと、4500%も増加することによって損失を被るだろうと予測される。
4. 国家予測
このようなグローバリゼーションの流れの中で、インドネシア政府はいくつかの予測を立て、実行にうつしている。その一つに1989年の電気通信法の改訂があり、そしてグローバル・インフォメーション・インフラストラクチャー(GII)の概念を基にしたヌサンタラ-21計画がある。
国内最大の電話事業者であるテレコムは、将来のビジネスの試金石として、マルチメディア・サービスとGMPCSを含む移動サービスの提供、IPO(Initial Public Offering)を含むKSO方式の再構築に向けて合併活動を開始した。
1. 個人サービスとして首都地域ネットワーク(MAN)とスイッチド・マルチ・メガビット・データサービス(SMDS)を展開
2. インフラとして、SDH をはじめとするデジタル、マイクロウェーブ、海底ケーブル伝
送サービス、およびTELKOM - 1衛星計画を展開。
現在、将来的な電気通信基盤のベースとしてATM技術の試験を実施中。
3. PSTN から狭帯域ISDNおよびインテリジェント・ネットワークへの移行を推進準備
4. 移動通信に関して
ジャカルタにおいてPCS / PCN 個人携帯電話システム
(PHS : Personal Handyphone System)企業との合弁。
マルチメディア時代への突入を前に、広帯域ISDNやインターネットを含むマルチメディア分野に全ての資源が結集されるだろう。テレコムもすでにインターネット・ゲートウェイとしてTELKOM - NETを立ち上げている。テレコムは2000年初期までにATM 技術に基づいた通信サービスを開始する予定である。ATMの普及は ヌサンタラ-21の構想、使命と歩調を合わせ、サイバー社会、そしてサイバー産業育成を促すだろう。
最後に今後のテレコムの目標を掲げてまとめとする。
1. 適確なサービス、ネットワーク・マネージメント、輸送または伝送、そして接続を可能にする基本的な基盤の構築
2. ボイス・バンド、ナロウ・バンド、ワイド・バンド、ブロード・バンドから構成されるテープ・コミュニケーション(tape communication)とインターネットの育成
3. 広告、プロモーション、顧客サービス、料金関連、調査センターとしての「コール/コミュニケーション・センター」の設置
4. モバイル・アクセス、衛星接続を可能にする移動コミュニケーション・サービスの展開
(参考)
" CSS Document" by PT. TELKOM 1998 - 2002
" Program NUSANTARA - 21 " by Departmen Pariwisata, Pos dan Telekomunikasi, 1997
" T - 2001 Document " by PT. TELEKOM
このセミナーは、「ヌサンタラ-21」をテーマにしたはじめての本格的な会議で、総勢200名ほどが集まり、インドネシアの情報化を推進する主な主体が一同に会したといってもよい。とかく路線の違いが目立つ郵電省と産業省が席を同じくし、協調を印象づけようとしていたのも特筆に値するだろう。
バンドン工科大学などのインターネットの関係者は、2日目の個別テーマの発表にはスピーカーとしての参加が予定されていたが、全体としては表にはあまり登場せず、まだ、インターネットそのものへの政治的・社会的認知が外在的なものであって、インドネシア内部のパイオニア的な人々への評価が十分には行なわれていないという印象を禁じざるをえなかった。