はじめに
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アジアネットワーク研究所では、1997年4月の設立以来、アジア各国のインターネット事情を中心とする情報化の実態について、国別の調査活動を実施してきた。これまでに、マレーシアおよびシンガポールについて調査を行ない、報告書を刊行するに至ったが、今回はインドネシアを取り上げた。承知のように、インドネシアはアジアの経済危機のなかでも、もっとも深刻な事態に至った国として、30年を越えるスハルト大統領の治世そのものが問われ、激動が続いている。そのなかで情報化の動向がどうなるのか、重要な意義があると思われるからである
今回はとくに、インターネットの状況と、政府が推進している国家レベルでの情報インフラ整備プロジェクト「ヌサンタラ-21」を中心に取り上げた。調査手法としては、インターネットを活用した情報収集作業を主材料に、1997年12月のジャカルタおよびバンドンへの短期訪問を補助材料とした。
経済危機の打撃は、インターネット事業にも少なからぬ影響を与えるものと思われたが、実際に訪問し、調査しての感覚では、事態は案外深刻化しておらず、経営そのものについても、伸び率は落ちるものの、まだプラス成長が続くとの楽観的な見方が強かった。これには、訪問先が大手および独立系で、経営基盤が比較的堅固なところに限られていたという要因があることは否定できない。同時に、情報技術分野は、他の分野に比べると相対的な落ち込みが小さいという傾向は強いと思われる。
しかし、国際通信回線の代金決済が米ドル建てであるため、中小プロバイダーのなかには、実質大幅値上げに耐えるのが辛くなっているところが出始めていると言われている。今後は、電話会社など資本力の強い企業が、次第にインターネットの市場を席巻するとの観測は強い。ただし、政府の規制政策が大企業保護に偏っており、自由競争さえ認められればむしろ技術力と経営の機動力に優る独立系事業者の方が強いという意見も存在している。いずれが正しいかは、そう遠くない将来判明するだろう。
その後、スハルト大統領の7選が確定し、ハビビ氏が副大統領に選任されたが、インドネシア経済全体が今後どう動き、情報化がどう推移していくのか、予断を許さない。今回の調査だけでは十分掘り下げられたとはいえず、できれば今後も継続的に追跡調査を続けたいと考えている。現に、ごく最近になって、バンドン工科大学のメンバーによって「ヌサンタラ-21」の見直し作業が行われているとの未確認情報が入ってきた。
なお、今回の調査にあたっては、インドネシアにおけるインターネットの初期の立ち上げに大きな役割を果たしたインドネシア大学のラマット・サミク・イブラヒム氏(現在はシンガポール国立大学に留学中)、バンドン工科大学のブディ・ラハルジョ氏、同じくオンノ・プルボ氏らに、資料の提供その他多くの示唆を頂いた。また、とくに第3章のインドネシアの電気通信事情については、NTTジャカルタ事務所から提供いただいた資料におおくを負っている。ともに記して感謝申し上げたい。
また、高校時代にインドネシアへの留学経験をもつ会津実穂が、当研究所のインターンとして、ウェブサイトの情報の探索・収集・整理、インドネシア語資料の翻訳、現地訪問のアシスタント、草稿の大半の執筆作業などを行ない、助けとなった。もちろん、最終的なでき上がりは、すべて私自身の責任に属する。
一年前、クアラルンプールに事務所を開設して以来、マレーシアおよびアジアは激動が続いてきた。タイに始まった通貨危機、ヘイズによる大気汚染、金融危機、最近では日本企業の人員引き上げ、旱魃による深刻な水不足が続いている。そのなかで、アジアの情報化を進めるための研究・実践作業をささやかながらも維持してこれたのは、ひとえにアジアインターネット研究会の企業・団体会員、個人会員をはじめとする大勢の皆様からの物心両面にわたる温いご支援・ご指導のお蔭にほかならないとの思いを新たにする。あらためて衷心からの感謝を捧げたい。
1998年4月
アジアネットワーク研究所 代表 会 津 泉
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・本レポートは、限定配布するもので、コピー等の配布はご遠慮ください。
・内容の性格上、関係者の個々の発言については、氏名の明示は控えました。
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