第4章 MSCステータス
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1 財政措置
1) 法人所得税の控除 収益が出始めてから5年間、法人所得税が最高100%まで減額あるいは免除される。この場合、技術移転の実施が確認されれば、5年目に、さらに10年まで継続することが可能とされている。また、MSC関連で利用するマルチメディア機器の関税も無税となる。ただし、直接販売を目的とする企業は適用外とされる。 2) R&D奨励金(MGS) フラグシップ・アプリケーションのうちの、研究開発クラスターのところで紹介したように、マレーシア資本が51%以上の国内中小企業を対象に研究開発を奨励するために、MGS(MSC Grant Scheme)という補助金が用意されている。これには総額2億リンギット(約70億円)の予算が計上されている。
1) 知的労働者の自由雇用 マレーシアでは、他のほとんどの国と同様に、外国人労働者の雇用は、通常、入国管理局で厳しい審査が行なわれる。原則として、マレーシア人で採用が困難な職種でなければ労働ビザは認められない。しかし、MSCステータスを取得した企業については、以下のいずれかの要件を満たす「知的労働者」に限って、国籍を問わず自由に雇用できる。 ・マルチメディア関連分野で5年以上の業務経験をもつこと ・技術専門学校で2年以上の経験をもつこと ・MA以上の学位をもつこと
1) 企業所有の自由 マレーシアでは、企業所有については、外資への各種の制限、とくに輸出比率に比例した出資率の制限があるが、MSCステータスを取得した企業は、マレーシア国内法によって設立される企業であれば、100%外国資本であっても自由に設立できる。 2) 通貨の自由な利用 通常は、外貨による決済は、一定額以上になると政府への届出・承認が必要とされるが、MSCステータスを取得すれば、業務上の決済にあたっては、どの国の通貨でも自由に利用可能となり、その制限額もない。
このMSCステータスを取得した第一号企業は、発表ベースでは、米国のサン・マイクロシステムズとされている。しかし、ほぼ同時期に、テレコム・マレーシア、NTT、MIMOSもMSCステータスを認定され、これら4社は「パイオニア・ステータス」として別格の扱いを受けている。 一般企業も含めて、MSCステータスを取得した企業は、97年12月末までに94社に上っている。これらの企業の一覧は、付録に収録したので参照されたい。 国別に見ると、当然ながらマレーシア現地企業が多く単独で35社、合弁を入れると計57社となり、ついで米国が合弁を併せて12社で第二位、シンガポールと英国が各8社、日本が7社と続いている(表4-1)。 現地企業の数は、予想を上回ると言える一方、日本が7社と、全体の7%というのは、NTTが深くかかわっていることを考えるとかなり少なく、意外と受け止められている。NTT以外では、富士通系が合弁を入れて計3社取得し、積極的な姿勢が現れている。この他に申請済みだが、未取得の企業もかなり多いとみられる。 【表4-1 国別MSCステータス取得企業数】 ![]()
1) 応募ガイドライン MSCステータスの取得にあたっては、応募ガイドラインが定められている。 まず、MDCに所定の申請書を提出する。これは、5年間のビジネスプラン、MSC認定を得ることによって実現をめざす付加価値についての説明、技術移転の方法についての具体的な説明などの添付が求められる。 原則として、申請から30日以内に認定されるものとし、認可されない場合には6ヵ月後に再応募が可能となっている。なお、申請時点で10,000リンギット(35万円)を申請料として支払うが、認定を受ければ返還される。これは、いい加減な申請を防ぐ目的で取られている措置だという。 2) MSCステータスの認定基準 MSCステータスは、以下の基準を満たす企業に与えられるものとされている。 ・マルチメディアのプロバイダーもしくはヘビーユーザー ・知的労働者を高度に雇用(最低15%以上の知的労働者を維持)すること ・マルチメディア専門の独立した法人(既存の企業のままでは駄目) ・MSC地域内に設立 環境ガイドラインに適合 ・技術移転を実施: 以下のいずれかの形態で、マレーシアに技術を移転させる企業 ウェブシェイパー:キープラットフォームをつくる機能を果たすこと 技術/運用の研修をマレーシア人に実施すること スタッフの交換(海外研修など)を実施すること 技術移転契約:ジョイントベンチャーその他の方法で実施する ・独立法人であること 既存の企業の一部門ではMSCステータスは取得できず、MSCに特化した専門 の独立法人の設立が必要とされる。 さらに、以下の要件を満たすことが求められる。 ・環境ガイドラインに適合 ・以下のMSC指定地域内に立地すること サイバージャヤ テクノロジーパーク(ブキジャリル) KLツィンタワー KLタワー ただし、現在、サイバージャヤ以外には実質的に利用可能なオフィススペースはほとんどない。いずれ、他の場所も追加される予定があるという。 ・暫定MSCステータス(99年まで) 現在上記のMSC指定地域以外にすでに立地している企業は、サイバージャヤの完成後は同所に移動することを条件に認定を得られる。また、現在上記指定地域内に立地している企業は、サイバージャヤの完成後も、移転してもしなくてもよいとされている。 ・製造業への優遇措置の条件 マルチメディア技術を利用して高い付加価値を実現する製造業に対してもMSCステータスは与えられる。 なお、MSCステータスを取得した企業については、5年後に実際に基準を満たした活動が行われているかどうかをMDCが監査することになっている。この監査に合格すればさらに5年間延長可能とされている。 ・厳しい審査 MSCステータスの取得にあたっては、かなり厳しい審査が行われるという。提出書類も詳細で具体的な計画を記したものが要求され、作成に相当の労力を要するという。また、書類審査だけでなく、担当者への口頭説明も要求される他、場合によっては、事業所に出張しての審査もあると言われている。 申請企業数が予想を上回っているところから、各種優遇措置の「安売り」を防ぎ、厳正な審査をしようという姿勢が伺われる。 日本企業では、これらの書類作成にあたっては、すべて英文にする必要もあるところから、自社では困難であるとして、外部のコンサルティング会社などに外注する事例も多い。また、欧米系の企業で、米系コンサルティング会社に数億円もの法外な費用を支払うことになったという噂もある。
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