インターネットで何ができるか
株式会社ジェイアール東日本企画発行 (財)ハイパーネットワーク社会研究所研究企画部長
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インターネットは、郵便、新聞・雑誌、ラジオ、電話、テレビ、ファックスに続く新しいメディアとしての位置を確立しようとしている。最近の調査では、利用者500万人以上と推定され、誤差を考えても実数400万人は間違いない。利用者数は年々倍増で、このまま続けば97年中に800万人、98年に1600万人、2001年には1億人を突破する勢いだ。そこまでは無理としても、いずれ誰もが利用する時代が来るだろう。
電子メールとWWWが主役
インターネットは、一口でいうと「コンピューターのネットワークのネットワーク」だ。どんな機種のコンピューターでも、どんな速度の通信方式でも、自由に接続できる。このきわめてオープンで柔軟な仕組みが、爆発的な普及の鍵となった。
そのインターネットで何ができるか。理論的には、コンピューターでできることなら何でもできる。では実際のインターネットで何ができているのか。
もっとも良く使われているのは、電子メールだ。文章を書く、送る。読む。単純な機能だが、使いこなせばきわめて便利だ。自分のパソコンから相手のパソコンまで、一気通貫。速ければ一瞬で、遅くても数分から数十分以内で、世界中に届く。企業内部の業務連絡から顧客とのやり取り、友人知人や家族恋人とのコミュニケーションまで、使い方は様々だ。
電子メールの拡張形が「メーリングリスト」と呼ばれる同報メールで、テーマや分野を限って自由に情報交換する「フォーラム」ができる。コンピューターや専門技術についての情報交換から、ワインやグルメ、アイドルからロック、SF、映画、政治問題と、話題は何でもある。時間と空間を超え、世代や性別、専門も超えて人間同士のコミュニケーションが広がることが、インターネット利用の大きなメリットだ。
インターネットが爆発的に普及するキッカケをつくったのが、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)という仕組みで、これによる「ホームページ」がインターネットの代表的な利用法となった。WWWは簡単な仕組みで、
1) 自分の出したい情報を文字・写真・画像・音声・ビデオなど自由な形で発信できる
2) 利用者は画面上のボタンを押すだけで、どんな情報でも取り出せる
3) WWWの情報源同士を簡単に結ぶ(リンク)ことができ、
世界中の関連ある情報がインターネット上でつながる
といった特徴をもっている。これに検索機能を組み合せることで、膨大な情報を要領よく探すことができる。
あらゆる業種・サービスに拡大
よくインターネット上の情報の大半は質が低く、役に立たないと言われる。その傾向も否定できないが、「食わず嫌い」の面も強い。目的さえ明確なら役立つものは多い。
製造業から商社・流通、金融、建築、メディアまで、およそあらゆる業種の企業がインターネットで情報発信をしている。会社案内や製品紹介などの広告・広報、便利な情報の提供などが主な内容だ。大企業だけでなく、小規模ビジネスも、盛んにインターネットを利用している。会計/税務、社会保険・労務、法律、特許、コンサルティング、建築事務所、デザイン、翻訳などだ。これらの中には参考になるものも多い。「バーチャルモール」によるオンラインショッピングも盛んで、CDや化粧品、洋書など、海外通販の利用がとくに目立つ。
新聞社は無料あるいは有料でニュースを提供している。96年10月の総選挙では、主な新聞社や放送局が競って選挙速報のホームページを開いた。天気予報、ホテルや航空便の案内・予約、不動産情報、求人情報、海外ツアー、中古車情報など、生活関連情報・サービスも充実してきた。たとえばリクルート社では、インターネット版「住宅情報 ON the NET」を、雑誌と同じく毎週水曜日に発行している。雑誌は2万件だが、インターネット版では8,000件の情報でスタートした。マンション、一戸建て、土地の3つの中から指定し、地域や価格、間取りなどの条件も選択できる。該当物件が数秒で一覧表示される。希望すれば、条件に合った物件を4週間、メールで知らせてくれる。時間をかけたい人には大変便利で、利用料金もすべて無料だ。
アメリカでは、無店舗の銀行や保険会社が設立され、オンラインで振込やローン借入れ、保険の申込みができる。日本でも97年度から個人でインターネット上で銀行口座の資金決済ができるサービスが開始される。
インターネットの標準技術を企業内システムに応用した「イントラネット」も爆発的に増加している。使いやすさが受けているのだ。社内での経営情報の公開、業務処理など、応用の幅は無限に広がる。
営利目的以外の利用も盛んだ。個人のホームページには、玄人顔負けの充実したものが多い。教育、医療、市民運動などの利用も目立つ。とくに緊急事態には機動力を発揮する。阪神大震災の際には、神戸市自身が被災と復旧の客観的な情報を世界に向けて発信し、大きな反響を呼んだ。O−157事件のときには、専門の医療機関同士が治療法や予防対策について緊急の情報交換を行ない、成果が上がったという。いずれも既成の通信手段だけでは不十分な状況で、インターネットの特性が発揮されたといえる。
霞が関でもインターネット利用が広がっている。主な省庁はほとんどホームページを開設した。内閣は「行政の情報化」に力を入れ、97年早々からは「霞が関WAN」ですべての省庁が相互につながる。いずれ法律や政令なども簡単に入手でき、各種の申請もオンラインで可能な「電子政府」ができるだろう。国の動きを受けて、地方自治体でも、インターネット接続は急増している。地方でもインターネットで発信すれば世界の中心になれるのだ。
新しい利用方法が続々
毎日にように新しいサービスが開始されている。たちまち人気を集めるものもあれば、あえなく討ち死にするものも少なくない。使い方の工夫がみられるものを以下ランダムに紹介しよう。
日本エアシステムでは、機体デザインの公募と審査結果の発表にインターネットを利用した。競艇のオッズと映像のリアルタイム中継、レース結果の速報も97年3月より始まる。相撲協会も公式のホームページを始めた。エイズで亡くなった家族や友人への思い出のデータベースページが開設されている。歯科診療の相談や予約をインターネットで受け付ける歯科医が東京に登場している。米国のポイントキャストは、インターネットで常時最新ニュースを「垂れ流し」的に配信し、爆発的な人気を集めている。
必要と想像力の両者が交差すれば、新しいサービスが容易に実現できることがわかる。
今後どうなるか
インターネットの1年は普通の7年分だと言われる位進化が早く、未来の予測は難しい。インターネット接続を前提に、安価な端末機器が、次々に登場している。テレビに内蔵したものもあれば、パソコンをより身軽にしたものもある。いずれどこにいても自由にインターネットにつながるようになる。高いと言われた通信料金も、爆発する需要を見越して値下がりの兆がある。これからの2、3年が本格的なインターネット時代の幕開けとなるだろう。
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