目立つ日本の情報化の遅れ Y2Kもインターネットも



『日経マルチメディア』連載 アジアネットワーク便り(99年1月号)



会津 泉

(アジアネットワーク研究所/クアラルンプール)





アメリカの弁護士の友人からメールが来た。「アジアはY2Kで大きな痛手を 受ける」とある。業界ニュースの紹介で、さっそく本物の記事をウェブで読む と、「世界の40%の企業が、2000年問題(Y2K)でひどい目にあうと予想され る。とくにアジアの対策は遅れている」というのだ(www.computerworld.com/home/news.nsf/all/9811124asia)。この手の調査の専門企業、ガートナー・グループが世界の企業のY2Kへの対応度を国別に調べて発表したもので、15%の企業がY2K問題で事故に遭うと想定される国をレベル1、同33%をレベル2、50%をレベル3と仕分けたものだ。

それによると、アジアでレベル3に該当するのが、インド、マレーシア、北朝 鮮、そして日本だという。アメリカ、カナダ、イギリス、スゥエーデンなど、欧米 の主な国はほとんどがレベル1だが、アジアからは、シンガポール、韓国、台 湾がレベル2に入っているだけで、レベル1はない。さらに下の、66%の企業 が事故に遭うレベル4に、中国、カンボジア、インドネシア、フィリピン、タイな どが入る。ドイツは日本と同じくレベル3、ロシアはレベル4だという。

日本のY2K対策の遅れは、別のソースからも伝わってくる。アジアの経済界 で広く読まれている週刊誌『ファーイースタン・エコノミック・レビュー』が最近 行った、一流企業の経営者を対象にした調査でも、「Y2Kに十分な対応を行 ったか」という質問に対して、「イエス」と答えた経営者が、オーストラリア、マ レーシア、シンガポール、香港で90%を超え、フィリピン、韓国、タイが80%代 なのに対して、日本は70%で、インドネシア、台湾に続いてアジア10カ国のう ち下から3番目だったのだ。

アジアの情報産業関係者の中には、今年は、Y2Kのおかげで経済危機の影 響が最小限で済んだという人が多い。深刻な経済危機のなかでY2K対策だけ は別扱いというのだ。その反面、Y2Kを扱わない企業は「全然受注が来ない」 とぼやいている。日本でもそれなりに対策は進めているつもりなのだろうが、経 済の大きさと、それが隣国に与える影響力を考えると、相当心配すべきだろう。

インターネットについても、経済力との相関で比較すると、日本はアジアのな かでも、必ずしも普及が進んでいる国とはいえない。シンガポールはアジアで もっともインターネットの普及率が高く、すでに人口の15%が利用している。人 口比では、日本、香港、オーストラリア、ニュージーランド、台湾などが10%前 後でほぼ横に並び、これに韓国、マレーシア、タイが続く。、日本は一人あたり のGDPが3万7千ドルと高い分だけ、インターネットの相対的な普及度は低い。 インターネットに接続されているホストコンピューターの数とGNPの対比をとって も、日本は世界38位で、シンガポール(18位)、マレーシア(25位),韓国(35位)を下回る。

日本の情報化投資がペースダウンしているという見方は、ルーターやスイッチ など、インターネットやLAN関連の機器メーカーの間にも強い。今年に入っての 落込み度はアジアのなかでも日本が一番ひどく、韓国やタイなど、経済危機に 襲われた国以下だと、シスコやアセンド社の幹部が口をそろえて指摘する。経 済危機からの脱出に情報化の推進は欠かせないはずなのだが、日本の足取り はここでも遅い。この調子だと、2000年には、いったいどうなるのだろうか。とて も安心できない。





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