KL良いとこ、一度はおいで…



『日経マルチメディア』連載 アジアネットワーク便り(99年6月号)



会津 泉

(アジアネットワーク研究所/クアラルンプール)



 雷鳴とどろくマレーシアのクアラルンプール(KL)に着いて、はや丸2年。南国KL暮らしもすっかり身についてきた。とはいえ過去1年は出張の連続で、落ち着いて我が家にいる時間はごく少なかったのだが、こうして丘の上に建つマンションの12階から、市内の高層ビルやKLタワー、その向こうの山々のスカイラインを朝夕に見ると、ほっと落ち着くのは事実だ。

 さて、KL暮らしの先輩で、日本でも人気のホームページ「ジャランジャラン」を主宰するYさんから、会社を退職して独立し、インターネット・ビジネスに乗り出した、と電子メールが来た。ジャランジャランは全くのボランティアで、マレーシアに観光に来る人たちに気のきいた情報を提供し、コミュニケーションの輪を広げて人気を集めてきた。

 今度は本格的なビジネスだ。航空券、ホテル、パッケージ・ツアーの手配から、レストラン、カラオケ・ラウンジの予約、マレーシア名産の蘭の花のオンライン注文まで、ずらりメニューがそろう。立ち上げ時点で提携企業が100社を超える充実ぶりだ。さすがにボランティアの蓄積は強い。「アベニュー」というネーミング自体、「アジア万能メニュー」の略というのもうなずける。会員に登録すれば、不定期だが無料でメール・ニュースが届く。日本からKLに来られる方にはぜひ利用をお勧めする。

 しかし、いくらバーチャル・ショップでコストがかからないといっても、広告料と販売手数料でビジネスを成立させるのは容易ではない。日本もアジアもまだ景気は良くない。さぞや苦労が多いことだろうと察しがつくだけに、つい応援もしたくなる。

 昨年夏に少し紹介した、バリ島の手作りせっけんをオンラインで販売する「エスノ」も、しぶとく商売を続け、第2弾としてインドネシアの手織の布、イカットを仕入れて販売を始めている。さらにシャンプーの販売にも取り組む。

 この2年で、マレーシアに生活する日本人でインターネットを利用する人は相当増えた。日本の新聞も無料で読める。日本にいる家族や知人と電子メールを交換するのも日常のことになってきた。先ごろ当地の日本人会が実施したアンケートでは、回答した684名の57%が自宅で電子メールを使用しており、わずかだがファックスのそれを上回った。日本人学校もホームページが充実し、最近ではサッカー・クラブの専用ホームページもできた。

 「南国新聞」、「日馬プレス」など現地で発行される日本語新聞も続々とホームページを開設している。広告収入だけで発行するフリー・ペーパーだから、読者への利便性を高めるオンライン化は自然な流れだ。紙に印刷しない分、ニュースもほぼ毎日更新される。「日馬プレス」は、別に開始されたアジア情報主体の「ポータルアジア」とも提携して、積極的な展開を図る姿勢だ。こちらも、観光・生活情報、オンライン・ショッピングなどのメニューが並び、「アベニュー」と競合する。

 KLに限らず、アジアではバンコクでもジャカルタでも香港でも、日本人社会をターゲットにしたインターネット・ビジネスが育とうとしている。わずか2年でここまで変わったのだから、2年先、3年先がどうなっているか、楽しみである。

■今月のウォッチ・サイト

ジャランジャラン http://www.junmas.com/

アベニュー http://avenu.net/

エスノ http://www.negitoro.com/ethno/

日本人学校 http://www.nttmsc.com.my/jskl/

南国新聞 http://www.nangoku.com.my/

日馬プレス http://www.nichimapress.com/

ポータルアジア http://portalasia.com/



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