インターネットを日本経済の新しいインフラに


週刊エコノミスト(毎日新聞社) 4/5号掲載インタビュー

会津 泉  Email:izumi@anr.org

アジアネットワーク研究所代表
1999年4月5日



 ---マレーシアに拠点を定めて日・米・アジアのインターネットの現状を見て感じることは。
 アメリカの伸び方が際だっていて、日本やアジアとのギャップがどんどん広がっている。アメリカのインターネット関連企業が、経済危機などで行き詰まったアジアの会社を買収している。日本でもいくつかのプロバイダーが米企業の参加に入った。アジアでの調査研究をやるにも、アメリカの企業の動きをカバーしないと、どうにもならないのが現実だ。

 ---それほど差が開いている?
 昨年からアメリカで、デジタル・エコノミーが大きく伸びた。日本ではインターネット・ショッピングくらいしか思い浮かばないかもしれないが、実はインターネットを使った企業対企業取引が大きく拡大している。また、Eトレードのような新しいビジネスモデルも生まれている。AOLの時価総額が日立や松下電器を上回ったのは象徴的だ。アメリカのインターネット・ユーザーは7000万人。それだけの数の消費者や企業の人間が毎日使うものとして、そのうえに経済活動が出来上がっている。新しい経済のインフラだといっていい。

 ---それに比べて日本は。
 ユーザ数は昨年末に1300万人を超えたと言われるが、まだ遊びや趣味的な使い方が多い。それでも、普及率は、経済成長率よりはよっぽどマシなのだから、本格的に投資をすれば、アメリカと同じようなことが起きる可能性はある。ただ、アメリカの成長にはバブル的な要素もある。日本のデジタル・エコノミーが成長し、インターネットが日本経済の新しいインフラになる前に、アメリカのバブルがはじけてしまうと、日本の動きも止まってしまう。

インターネットのY2K問題

 ---日本では、インターネット関連のベンチャーが出現しない。
 個人的には才能のある人はいるのだが、同じギャンブルをやるなら、リターンの大きいところでやったほうがいい。だから、みんなアメリカに行ってしまう。そういう形でアメリカは、世界から知恵、技術、資金の吸収力が猛烈に強い。もともとインターネットは規制のない、ボーダーレスの世界だから、強いところが全部をもっていく。

 ---当面の課題は。
 今年、取り組まなければならないのは、インターネットのY2K(2000年)問題だ。電力、通信、交通、金融といったライフラインの分野では盛んに言われてきたのに、インターネットについては誰もふれていない。気がついて愕然としたのだが、グローバルにみて何の対策も講じられていない。
 インターネットが機能停止になったところで、社会にとって致命的ではないという人もいるが、アメリカ7000万人のデジタル・エコノミーが混乱すれば大変なことになる。日本にとっても、インターネットが生き残らないと、中長期的にみた日本経済再生のために新しいインフラとなることができなくなる。それが心配だ。



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